母子父子寡婦福祉資金とは?返済期間や免除、通信制高校でも使える?
経済的に苦しい世帯を応援するための制度にはたくさんの種類がありますが、その一つが母子父子寡婦福祉資金です。
今回の記事では母子父子寡婦福祉資金の制度の内容について、対象者や制度の詳しい内容・申込方法などを紹介していきます。
母子父子寡婦福祉資金の利用を検討している方は、ぜひ今回の記事を参考にしてください。
母子父子寡婦福祉資金とは

母子父子寡婦福祉資金は、一人親や配偶者がおらず経済的に苦しい世帯に低金利もしくは無利子で必要な資金を貸し付けする制度です。
返済不要の補助金などとは違って、支援してもらった資金は返済する必要がある点が一番の特徴と言えるでしょう。
また借入するための資金使途は幅広く、子供の修学や事業など様々です。
母子父子寡婦福祉資金の読み方
母子父子寡婦福祉資金は、あまり知られていない制度かもしれません。まず、名前の意味と読み方を紹介します。
母子父子寡婦福祉資金は、名前の通り一人親や配偶者のいない家庭を応援するための制度です。
読み方は「ぼし・ふし・かふ・ふくししきん」と読みます。
借入の資金使途の詳細については後ほど詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
このように母子父子寡婦福祉資金は、「経済的に苦しい一人親や配偶者がいない世帯のための低金利での借入制度」と言えるでしょう。
母子父子寡婦福祉資金の貸付の対象者

母子父子寡婦福祉資金は一人親や配偶者のいない方のために便利な借入制度ですが、実際に利用出来る方はどのような方でしょうか。
ここでは母子父子寡婦福祉資金を利用出来る、対象者の範囲を紹介していきます。
母子家庭の母や父子家庭の父
母子父子寡婦福祉資金という名前の通り、母子家庭の母や父子家庭の父、つまり一人親の方が対象となります。
この制度でいう母子家庭・父子家庭は、20歳未満の子を扶養している家庭です。
18歳になった後の最初の3月31日までの子を対象にするのは、児童扶養手当の決まりです。母子父子寡婦福祉資金では、20歳未満の子を持つ親が対象です。
そのため大学や専門学校へ通うための修学資金も、借入の対象となります。
また一人親と言っても様々な事情がありますが、例えば埼玉県の場合は下記のように定めています。
- 配偶者が死亡又は配偶者と離婚し、現に結婚していない方
- 配偶者の生死が不明、又は配偶者から遺棄※されている方(※遺棄の状態が1年以上継続すると認められる場合に限ります。)
- 配偶者が外国にいるため、その扶養を受けることができない方
- 配偶者が精神又は身体の障害により長期にわたって働けない方
- 配偶者が法令により拘禁されているため、その扶養を受けることができない方
- 婚姻によらないで母又は父となり、現に結婚していない方
参考:埼玉県「母子父子寡婦福祉資金」
自治体毎に定めがあるので、利用する際にはお住まいの自治体のHPで確認できます。
父母のない20歳未満の子供
母子家庭や父子家庭の親だけでなく、父母のいない20歳未満の子供も母子父子寡婦福祉資金の対象になります。
母子父子寡婦福祉資金には多くの資金使途がありますが、子どもが借受人となって利用できるのは、修学資金・就学支度資金・修業資金・就職支度資金の4つに限られています。
また子どもが借受人になる際には、連帯保証人が必要になります。一方、親が借受人になり、子どもが連帯借受人になる場合は、連帯保証人はいりません。
連帯保証人も誰でも良いという訳ではなく、例えば横浜市の場合は下記のような条件があります。
- 20歳以上60歳未満であること
- 申請者と別生計であること
- 生計中心者であること
- 正社員またはそれに準ずる勤務形態であること
- 原則横浜市在住であること
- 200万円以上の所得があること
- この資金の貸付けを受けていないこと
- 外国人の場合は永住権があること など
参考:横浜市「母子父子寡婦福祉資金」
連帯保証人の条件は利用する自治体によっても違いがあるので、詳細は自治体のHPなどで確かめられます。
寡婦(かつて母子家庭の母だった女性)
寡婦の方も、母子父子寡婦福祉資金の対象となります。
寡婦とは、かつて母子家庭の母として20歳未満の子を扶養していた女性で、今も配偶者がいない人のことです。自治体によっては、離婚などで配偶者のいない40歳以上の女性も対象にしています。
母子父子寡婦福祉資金の資金使途はとても幅広く、住宅資金や医療・介護資金などもあります。
一人親のための支援制度と聞くとどうしても子どもの修学資金をイメージしてしまいますが、今は子を扶養していない寡婦の方も利用できます。この場合は所得制限があります(後述)。
母子家庭や父子家庭、寡婦の子供
母子家庭や父子家庭、寡婦の子供も母子父子寡婦福祉資金の対象になるので、子供自身が借受人となって貸付を受けることができます。
父母のない20歳未満の子供が利用する時と同様に、母子家庭や父子家庭・寡婦の子供が利用する場合も連帯保証人が必要になります。
この場合の連帯保証人は、父や母・寡婦の方が対象となり収入や資産などの連帯保証人としての要件を満たしている事が必要になるでしょう。
また利用目的も、修学資金・就学支度資金・修業資金・就職支度資金に限られます。
生活保護を受給している場合
生活保護を受給している場合は、福祉事務所の生活保護の担当に、あらかじめ相談できます。
母子父子寡婦福祉資金の種類と金額

母子父子寡婦福祉資金の対象の次は、資金の種類について紹介していきます。
一人親のための制度と聞くと、何となく子供の修学のための資金をイメージしてしまいますが、母子父子寡婦福祉資金はそれだけではありません。
母子父子寡婦福祉資金には、次のように多くの種類がありそれぞれ借入出来る金額も違います。
就学支度資金
- 用途:入学金や、入学に必要な被服などの購入(大学・大学院の場合は受験料も含む)
- 貸付限度額:91,600円~590,000円(就学する学校によって異なる)
- 利率:無利子
修学資金
- 用途:高校や大学等で学ぶための授業料・書籍代等(大学・大学院は生活費を含む)
- 貸付限度額:月額27,000円~183,000円(就学する学校・学年によって異なる)
- 利率:無利子
国の政令で決まっている高校・専修学校高等課程の修学資金の限度額は、月額45,000円(自宅外通学は52,500円)です。都道府県の案内では、国公立・私立と自宅・自宅外通学に分けて示されています(埼玉県・岐阜県の令和8年度は、国公立の自宅通学27,000円・自宅外通学34,500円、私立の自宅通学45,000円・自宅外通学52,500円)。
就学支度資金の高校などの限度額は、国の政令で16万円(私立の高校などは42万円)です。
出典:e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令』(第7条)、こども家庭庁『Ⅳ 経済的支援』(令和8年4月)(令和8年4月1日現在)
修業資金
- 用途:起業や就職をするために必要な知識を習得するための資金
- 貸付限度額
- 月額68,000円
- 高校在学中に就職のため自動車運転免許の取得が必要な場合:460,000円
- 利率:無利子
就職支度資金
- 用途:就職に際して必要な被服等を購入する費用
- 貸付限度額
- 通常:110,000円
- 自動車を購入する場合:340,000円(通常分の110,000円を含む)
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%。子の就職のための費用は無利子)
技能習得資金
- 用途:事業を開始または就職するために必要な知識・技能を習得するための資金
- 貸付限度額
- 月額68,000円
- 数か月分をまとめて受ける場合(12か月分相当):816,000円
- 自動車運転免許を取得する場合:460,000円
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%)
医療介護資金
- 用途:医療費の自己負担分や通院の交通費等(治療期間1年以内)、介護を受けるのに必要な資金(介護期間1年以内)
- 貸付限度額
- 医療分(通常):340,000円
- 医療分(所得税が非課税の場合):510,000円
- 介護分:500,000円
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%)
生活資金
- 用途:次の期間の生活を維持するのに必要な資金
- ①母、父又は寡婦が技能習得している間
- ②母、父又は寡婦が医療又は介護を受けている間
- ③母、父又は寡婦が失業中で、離職してから1年未満
- ④母子家庭又は父子家庭になって7年未満
- ⑤児童扶養手当等を受給しておらず、所得の条件を満たす母又は父(貸付を受けようとしたときから1年以内)
- 貸付限度額
- ①の場合:月額141,000円
- ②③④の場合:月額118,000円
- 生計中心者でない母子・父子、現に扶養する子のない寡婦等:月額79,000円
- ④の場合の総額:2,832,000円まで
- 養育費取得の裁判費用(12か月分相当を一括):1,416,000円
- ⑤の場合:児童扶養手当に準拠した額(全部支給の額)の範囲内(原則3か月、最長1年)
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%)
転宅資金
- 用途:住宅の移転に際して必要な敷金、運送費等の資金
- 貸付限度額:260,000円
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%)
住宅資金
- 用途:住宅を建設、購入、保全、改築、増築するのに必要な資金
- 貸付限度額
- 通常:1,500,000円
- 災害等により住宅が全壊した場合等:2,000,000円
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%)
事業開始資金
- 用途:事業を開始するのに必要な設備費や什器・機械等を購入するための資金
- 貸付限度額
- 3,720,000円
- 複数の母子家庭の母又は父子家庭の父が共同で起業する場合の合計:5,580,000円
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%)
事業継続資金
- 用途:現在営んでいる事業に必要な商品・材料等を購入するなど、事業を継続するために必要な資金
- 貸付限度額:1,860,000円
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%)
結婚資金
- 用途:子の結婚に必要な資金
- 貸付限度額:340,000円
- 利率:無利子(連帯保証人がいない場合は年1.0%)
出典:埼玉県『令和8年度 母子及び父子並びに寡婦福祉資金貸付制度の御案内』(令和8年4月1日から適用)
上記のように修学資金の他、就職や就職準備、事業や生活に必要な資金など多くの種類の借入制度があります。
上記は埼玉県の母子父子寡婦福祉資金を参考にしていますが、自治体毎に要件等が違う場合があるので利用する際は各自治体のHPなどで確かめられます。
通信制高校でも母子父子寡婦福祉資金は使える?
通信制高校に進む場合も、修学資金や就学支度資金を借りられるのかが気になる方もいるでしょう。
埼玉県の御案内では、修学資金の対象は「学校教育法に規定する学校」に限られています。通信制高校も学校教育法に定められた高等学校なので、この決まりでは対象に入ります。一方、サポート校は学校教育法に定められた学校ではないので、サポート校の費用は対象外です。
高校の修学資金の上限(埼玉県の例)
埼玉県の令和8年度の修学資金の上限(月額)は、高等学校の場合、次のとおりです。
- 国公立・自宅通学:27,000円
- 国公立・自宅外通学:34,500円
- 私立・自宅通学:45,000円
- 私立・自宅外通学:52,500円
前年の所得が682万円(年収の目安900万円)を超える場合は、限度額が一部異なります。
出典:埼玉県『令和8年度 母子及び父子並びに寡婦福祉資金貸付制度の御案内』
授業料には就学支援金も使える
通信制高校の授業料には、国の「高等学校等就学支援金」も使えます。
2026年度から就学支援金の所得制限が撤廃され、世帯年収にかかわらず支援を受けられるようになりました。私立の通信制高校の場合、授業料が単位制なら1単位あたり13,668円(年間30単位まで)、定額制なら月額28,100円(年額337,200円)が支給の上限です。支給額は前籍校での在籍期間や履修単位数などにより異なり、入学金・施設費などは対象外です。
就学支援金の対象は授業料だけなので、修学資金は、就学支援金で足りない授業料や、書籍代などに充てることができます。通信制高校の扱いや、ほかの奨学金と一緒に借りる場合の限度額は自治体によって違うことがあるので、お住まいの自治体の窓口で確かめられます。
大学などで修学支援を受けたときの返済
修学資金や就学支度資金を借りた人が、大学などで給付型奨学金(学資支給金)や授業料・入学金の減免を受けたときは、その額に相当する分を、支援を受けた日から6か月以内に返すことになっています(令和2年4月から)。通信制高校を卒業して大学などへ進むときに関わる決まりです。
出典:e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令』(第8条第4項)、こども家庭庁『Ⅳ 経済的支援』(令和8年4月)
ほかの奨学金との関係も、自治体の案内で確かめられます。岐阜県の案内では、日本学生支援機構などの奨学金を受けている(受ける予定の)人には、修学資金を貸付けできない場合があるとしています。
母子父子寡婦福祉資金の申込み方法

母子父子寡婦福祉資金にはたくさんの種類がある事は説明しましたが、実際に利用する際にはどのような流れになるでしょうか。
ここからは母子父子寡婦福祉資金の、具体的な申込方法を紹介します。
まず市区町村や福祉事務所の窓口に相談する
母子父子寡婦福祉資金を利用する際には、いきなり申込をするのではなく事前に相談が必要です。
相談の窓口は、お住まいの市区町村や福祉事務所のひとり親家庭の担当です。窓口は、お住まいの自治体のHPなどで確かめられます。
事前相談では必要な資金の内容や、家計の収支状況などについてのヒアリングが行われるでしょう。
また、申請から資金を受け取るまで1~2か月程度かかります(埼玉県の例)。
母子父子寡婦福祉資金では必要な資金を払ってしまった場合(授業料を先に自分で払ってしまった場合など)は、目的を達成したと見なされ借入を受ける事が出来ません。
岐阜県の例では、修学資金など続けて借りる資金は、2回目以降は5月と10月に6か月分ずつの貸付けになります。
申請書と必要書類を準備する
相談の結果、借入の申込が出来る事になれば必要書類を揃えます。母子父子寡婦福祉資金の申請に必要な書類は下記になります。
- 申請書
- 戸籍謄本
- 所得証明書
- 住民税納税証明書
- 連帯保証人を立てる場合は、連帯保証人の所得証明書
- 資金の種類に応じて必要な書類
- 申請者の個人番号(マイナンバー)が分かるもの
出典:埼玉県『令和8年度 母子及び父子並びに寡婦福祉資金貸付制度の御案内』
上記は、埼玉県の母子父子寡婦福祉資金を申請する際に必要な書類です。貸付けが決まったら、借用書と印鑑登録証明書も提出します。
各自治体によって必要な書類が違う場合もあるので、詳細は各自治体のHPで確かめられます。
面接が行われる
自治体にもよりますが、申請の後に面接が行われます。面接は各自治体や福祉事務所などの担当者が行い、主に資金の使い道や返済計画について聞かれます。
母子父子寡婦福祉資金では返済が確実に行われるかどうかが審査で見られるので、面接では返済の計画も聞かれます。
福祉事務所で審査が行われる
必要書類の提出と面接が終わったら、各相談窓口で審査が行われます。
審査では家庭の収支状況などを参考に返済が可能かどうか、貸付が自立に繋がるかどうかという視点で行われます。
そのため必ずしも借入が受けられる訳ではなく、審査の結果借入が出来ない事もあります。
貸付金の交付を受ける
無事に審査に通過して貸付が決定したら、いよいよ資金交付となります。
資金交付の際には自治体によっては借用書や交付請求書の提出が必要になるので、その都度、自治体に確かめられます。
資金の種類によっては交付は一括でなく、分割で受け取る場合もあります。
分割で受け取る場合、自治体によっては、母子・父子家庭でなくなったなど対象の要件から外れたときに、資金の交付が中止されることがあります。
資金交付が終了したら、決められた据え置き期間を経過した後に返済が始まります。
母子父子寡婦福祉資金の返済期間

母子父子寡婦福祉資金は借入なので、資金交付を受けた後は返済を行っていく必要があります。
ここで気になるのが返済期間ですが、母子父子寡婦福祉資金の返済期間は借入の種類によって違います。
また資金の種類によっては、資金交付を受けてから返済が開始するまでの据置期間にも違いがあります。
次の表は、埼玉県の令和8年度の案内の例です。
| 資金の種類 | 据置期間 | 返済期間 |
|---|---|---|
| 就学支度資金 | 卒業後6ヵ月 | 5年以内 |
| 修学 | 卒業後6ヵ月 | 原則として貸付期間の3~4倍 |
| 修業 | 知識・技能習得後1年間 | 6年以内 |
| 就職支度 | 1年 | 6年以内 |
| 技能習得 | 知識・技能習得後1年間 | 10年以内 |
| 医療介護 | 医療・介護を受ける期間後6ヵ月 | 5年以内 |
| 生活 | 貸付期間終了後6ヵ月 | 5~10年以内 |
| 転宅 | 6ヵ月 | 3年以内 |
| 住宅 | 6ヵ月 | 6年以内 |
| 事業開始 | 1年 | 7年以内 |
| 事業継続 | 6ヵ月 | 7年以内 |
| 結婚 | 6ヵ月 | 5年以内 |
高校の修学資金は原則として貸付期間の3倍、大学などは4倍です。
出典:埼玉県『令和8年度 母子及び父子並びに寡婦福祉資金貸付制度の御案内』
上記のように資金の種類によって据置期間も返済期間も大きく違いがあります。
国の政令では、修学資金の返済期間は据置期間の経過後20年以内(専修学校の一般課程は5年以内)と決まっていて、その範囲で都道府県が運用しています。例えば岐阜県は、修学資金を「10年以内で運用」としています。
出典:e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令』(第8条)、岐阜県『母子父子寡婦福祉資金 種類別一覧表』(令和8年4月1日から)
返済の方法
返済は、月賦・半年賦・年賦のいずれかで、元金と利子を毎回同じ額ずつ返す元利均等が原則です。いつでも繰り上げて返すことができます。埼玉県は、返済金を金融機関に納め、口座振替を勧めています。
出典:e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令』(第8条第2項・第3項)、埼玉県『令和8年度 母子及び父子並びに寡婦福祉資金貸付制度の御案内』
母子父子寡婦福祉資金の返済免除はある?

母子父子寡婦福祉資金は借入なので、借りた資金は返済する必要があります。
ただし、次のような場合には、返済が免除されることがあります。
- 借受人が亡くなったとき
- 精神もしくは身体に著しい障害を受けたとき
上記のような事情に当てはまる場合、都道府県などが議会の議決を経て、返済の全部または一部を免除することがあります。ただし、保証人や連帯借受人が返済できる場合は、免除されません。
出典:e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法』(第15条)、e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令』(第19条・第20条)
返済の猶予を受けることも可能
また免除だけでなく、下記の事由に該当する際には返済の猶予を受ける事も出来ます。
- 災害、盗難、疾病、負傷などの理由で、貸付けを受けた者が支払期日に償還金を支払うことが著しく困難になったとき
- 修学資金や就学支度資金を借りて入学した子が、高校・大学などに在学しているとき(修業資金を借りて知識・技能を習得しているときも)
上記のようなケースでも、申請を提出し受理されれば一定期間返済の猶予を受けることが出来ます。
ただし、災害や病気などで猶予を申し出ても、連帯借受人(子など)が支払えると認められる場合は、猶予されません。
さいたま市の審査基準では、猶予の期間は原則1年以内で、理由が続くときはあらためて申請します。災害・盗難・病気などのときは関係機関の証明書や医師の診断書などを、在学中の猶予では学校の証明書を出します。
出典:さいたま市『母子福祉資金及び父子福祉資金並びに寡婦福祉資金の償還金の償還猶予 審査基準』
母子父子寡婦福祉資金の違約金について

母子父子寡婦福祉資金は返済が必要な借入ですから、期日までに返済する必要があります。
もし期日を過ぎても返済が出来なかった場合は、ローンなど一般の借入同様に滞納した期間に応じた違約金が発生します。
ここでは母子父子寡婦福祉資金の違約金について紹介します。
違約金の算定率
母子父子寡婦福祉資金の違約金の算定率は下記のようになっています。
違約金=滞納金額×3%×滞納日数÷365日
上記のとおり、今の違約金の割合は年3%です(令和2年4月1日から)。違約金の割合は政令で全国一律に決まっています。
それより前の延滞分は、平成27年3月31日までの分は年10.75%、平成27年4月1日から令和2年3月31日までの分は年5%で計算されます。
出典:e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令』(第17条)、埼玉県『令和8年度 母子及び父子並びに寡婦福祉資金貸付制度の御案内』
違約金の計算例
例えば、30万円の返済が30日遅れた場合の違約金は、次のようになります。
違約金=30万円×3%×30日÷365日=約740円
違約金の免除はある?
違約金を定めた政令では、支払期日に支払えなかったことに災害その他やむを得ない理由があると認められるときは、違約金を取らないことになっています。浜松市の基準では、この「やむを得ない理由」にあたる場合を9つ定めています。主なものは次のとおりです。
- 災害、盗難、病気やけがなどで、納期限までに返済できなかったとき
- 生活保護を受けている世帯や、それに準ずる程度に困窮していると認められる世帯のとき
- 病気や転職などで、収入が前より減ったと認められるとき
- 借受人が亡くなり、保証人や相続人が誠意をもって返済したとき
- 生活に困っている中で、努力して返済を終えたとき
出典:浜松市『浜松市母子及び父子並びに寡婦福祉資金貸付金の償還金の違約金免除に係る基準』、e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令』(第17条)
違約金の免除の基準は自治体によって違うので、返済が難しくなりそうなときは、窓口に相談できます。
母子父子寡婦福祉資金の審査で見られること

母子父子寡婦福祉資金を利用するには、自治体の審査を通る必要があります。
ここでは、審査で見られることを、自治体の公式の説明をもとに紹介します。
将来必ず返済する意思があるか
母子父子寡婦福祉資金は、経済的な自立を助けることを目的にした貸付けです。岐阜県のページでは、貸付けの条件として、経済状態が困窮しており、将来必ず償還する意思のある母子等が貸付けの対象になると書かれています。
出典:岐阜県「母子父子寡婦福祉資金」
返済の能力と、連帯保証人の保証能力
横浜市のページでは、申請者の返済能力と、連帯保証人を立てる場合は連帯保証人の保証能力を重点的に審査すると書かれています。また、この資金の返済が滞っている場合や、ほかのローンなどの多額の借金がある場合は、貸付けできないとしています。
出典:横浜市「母子父子寡婦福祉資金」
連帯保証人の要件(埼玉県の例)
埼玉県では、連帯保証人は、原則として次の要件をすべて満たしている人に限られます。
- 申請者と別生計であること
- 県内・近隣に住む60歳未満の親族であること
- 保証能力があること
修学資金・修業資金・就学支度資金と、子に係る就職支度資金は、無利子です。そのほかの資金は、連帯保証人を立てないと、据置期間の経過後に年1.0%の利子が付きます。
修学資金を親が借りるときは、子が連帯借受人になり、連帯保証人は要りません。子が借りるときは、親などが連帯保証人になります。連帯保証人の要件は自治体によって違うので、お住まいの自治体で確かめられます。
出典:e-Gov法令検索『母子及び父子並びに寡婦福祉法施行令』(第8条第5項・第9条)、こども家庭庁『Ⅳ 経済的支援』(令和8年4月)
出典:埼玉県『令和8年度 母子及び父子並びに寡婦福祉資金貸付制度の御案内』
母子父子寡婦福祉資金の所得制限

母子父子寡婦福祉資金の対象者は先ほども紹介しましたが、子供のいない寡婦の方などが利用する際には所得制限があります。
前年の所得(1月1日から5月31日までに申請する場合は前々年の所得)が2,036,000円以下でなければ、母子父子寡婦福祉資金は利用できないことになっています。
20歳未満の子を扶養している場合は、この所得制限はありません。
またこの金額は収入ではなく、所得の金額となっています。
給料などの場合は支給された金額とは違いますので、分からない場合は源泉徴収票や所得証明書で確認するとよいでしょう。
母子父子寡婦福祉資金まとめ

今回の記事では、母子父子寡婦福祉資金について詳しく解説してきました。
母子父子寡婦福祉資金は母子家庭・父子家庭や配偶者のいない世帯を応援するための制度で、様々な資金使途に応じて無利子・低金利で借入する事が出来ます。
子供の修学だけでなく、就職や住宅、生活費などにも使えます。修学資金・就学支度資金は無利子です。
利用するには審査が必要で、返済の意思や返済の能力が見られます。
また、借受人が亡くなった場合などには返済が免除されることがあり、災害や病気などで支払いが難しい場合には返済の猶予を受けられることもあります。
大学などで修学支援を受けたときは、その額に相当する分を6か月以内に返す決まりがあります。
