通信制高校の卒業は難しい?知っておきたい卒業するための3つの条件

通信制高校は、趣味や資格取得の通信講座のように手軽なイメージを持たれることもあります。入試は書類や面接、作文などで選考する学校が多い一方、学力検査を行う学校もあり、登校の日数も学校やコースによって違います。
しかし、卒業するには一定の条件を満たさなければなりません。このページでは、通信制高校の卒業条件についてご説明します。
通信制高校の3つの卒業要件
公立でも私立でも、通信制高校を卒業するには、法令で決まっている次の3つの条件をすべて満たさないといけません。
- 3年以上在籍すること(転入・編入の場合は前の高校の在籍期間も通算できる)
- 必履修科目をすべて履修し、74単位以上を修得すること
- 特別活動に30単位時間以上参加すること
では、それぞれについて詳しく見てみましょう。
通信制高校の卒業要件①~3年以上在籍する
学校教育法では、通信制の課程の修業年限は3年以上と決められています。転入・編入の場合は、前の高校で修得した単位と在学した期間に応じて、在学すべき期間が認められるので、前の高校の在籍期間も通算できます。
なお、令和7年度の文部科学省の調査では、修業年限を4年(以上)としている公立の通信制高校が4校ありました。
出典:e-Gov法令検索『学校教育法』(第56条)、e-Gov法令検索『単位制高等学校教育規程』(第5条)、文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
たとえ早いペースで課題(レポート)を提出できたとしても、在籍期間の条件を満たすまでは卒業できません。逆に言えば、急がずに時間をかけて計画的に課題に取り組んでいけば大丈夫ということになります。
通信制高校には学年ごとの留年(原級留置)がない
全日制高校では成績が悪かったり、出席日数が不足(病気の治療などの場合は除く)したりすると次の学年に進級できなくなります。一般的によく言われる「落第」や「留年」のことですが、正式には「原級留置」と言います。
原級留置になると、同じ学年でもう1度勉強しなければなりません。同級生は上の学年に進級しているのに、自分だけ1学年後輩と同じクラスで机を並べることになります。
それでも努力して次の年には進級し、卒業することも可能です。ただ、それが原因で学校に行かなくなり、中退してしまう人もいます。
一方、多くの通信制高校は「単位制」で、学年の区分がありません。便宜上、1学年、2学年と表示している学校もありますが、これは「1年目」「2年目」という意味合いだと理解するといいでしょう。
3年以上在籍して74単位以上を修得すれば卒業できるので、もし1年目で10単位しか修得できなかったとしても、2年目以降で残りの単位を修得すれば卒業できます。ただし、令和7年5月1日時点で4年以上在籍している生徒は、全体の6.8%、公立では25.6%で、時間がかかる人もいます。
また、授業料を支援する国の就学支援金は、通信制では原則48月(4年)までなので、在籍が長くなると自己負担が増えることがあります。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』、文部科学省『高等学校等就学支援金制度に関するQ&A』
通信制高校の卒業要件②~74単位を修得する
卒業の条件の2つ目は、「必履修科目をすべて履修し、74単位以上を修得すること」です。
単位とは科目ごとの学習量や学習時間のことです。全日制高校の場合は、学校ごとに各科目の1年間に受ける授業数が決められています。例えば1週間に4時間の数学の授業を1年間受けると、数学の4単位をもらえます。
一方、通信制の場合、自宅学習が基本になりますので、実際に何時間学習したのかというのがわかりません。そこで通信制では次の3つの条件を満たすことで単位が修得できるようになっています。
- レポートを作成し提出する
- スクーリング(面接指導)に出席する
- 単位認定試験に合格する
レポートを作成し提出する
レポートの提出数は教科や科目によって決められています。例えば学習指導要領では、国語や数学などは1単位につき添削指導3回・面接指導1単位時間が標準です。提出したレポートを先生が添削し、合格基準に達していない場合は再提出しなくてはなりません。
レポートは自宅で教科書を見ながら作成できますが、単位認定試験もあるので、先生が添削してくれたレポートを見て復習し、しっかり学習を深めましょう。
スクーリングに出席する
通信制高校は自宅学習が基本ですが、スクーリングにも出席しなければなりません。
スクーリングは「面接指導」とも呼ばれるもので、学校に行って直接先生から指導を受けます。
このスクーリングの回数(出席日数)は、学校やコースによって、年に数日から週に数日まで違います。令和7年度の文部科学省の調査では、週1日の通学コースを開設している通信制高校が128校、集中スクーリングを前提としたコースを開設している学校が113校ありました。
ちなみに、東京都立の通信制高校の場合は土曜日がスクーリングになっていて、年間約20~24日登校するようになっています。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』、東京都教育委員会『令和9年度東京都立高等学校定時制課程通信制課程入学案内』
スクーリングのシステムがどうなっているか、学校選びの際によく確かめておきましょう。
単位認定試験に合格する
レポートを提出しスクーリングを受けたら、単位認定試験を受けます。試験の回数は学校ごとに決められていて、前期と後期の年2回行う学校が多くあります(東京都立の通信制高校も年2回)。その分、範囲は広くなりますが、普段のレポート提出や添削指導を受けていれば問題はありません。
なお、学校によっては、試験を年に数回に分けて行うところもあります。
試験の回数が多いと、学習したところを忘れないうちに試験を受けられるという面もあります。
通信制高校の卒業要件③~特別活動に参加すること
特別活動というのは、ホームルーム活動・生徒会活動・学校行事のことです。
入学式や清掃活動、映画鑑賞……など学校によって活動内容は異なりますが、卒業までに30単位時間以上参加する必要があります(1単位時間=50分)。
通信制高校の特別活動の例
通信制高校の特別活動には、次のようなものがあります。
- 入学式
- ホームルーム(ロングホームルーム・ショートホームルーム)
- 体育祭・運動会・球技大会
- 文化祭・学園祭
- 映画鑑賞・歌舞伎などの芸術鑑賞
- 校外学習(体験学習や遠足、日帰り旅行など)
- ボランティア活動・清掃活動(個人で行うものではなく学校行事として実施されるもの)
特別活動は卒業までに30単位時間以上
30単位時間と聞くと大変と思うかもしれませんが、時間に換算すると「50分×30=1,500分」となり、25時間になります。
入学式が2時間、ロングホームルームが50分、校外学習の遠足が5時間……などと考えていくと、それほど難しいことではありません。
また、宿泊を伴う集中スクーリングで特別活動も同時に行うことがあります。さまざまな活動が設けられていますので、積極的に参加しましょう。
スクーリングや特別活動の時間数が減らされる場合も
今の学習指導要領(平成30年告示)では、次のような場合に、スクーリング(面接指導)と特別活動の時間数の一部を免除できるとされています。
- 学校が、ラジオ放送やテレビ放送などの多様なメディアを利用した学習を計画的・継続的に取り入れ、生徒が報告課題の作成などで成果を認められたときは、面接指導と特別活動の時間数の10分の6以内を免除できる
- 生徒の実態などを考えて特に必要がある場合は、複数のメディアを使うことで、メディアごとに10分の6以内を免除できる(合わせて10分の8まで)
令和7年度の文部科学省の調査では、こうしたメディアを利用した学習で特別活動の時間数を10分の6以内で減らしている学校は323校中122校(37.8%)、10分の8以内で減らしている学校は24校(7.4%)でした。
出典:文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)』(第1章総則 第2款5)、文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
ただ、その判断は学校が行うので、詳しい説明を聞いてみましょう。
通信制高校は、計画的に進めれば卒業を目指せる
法令で決まっている通信制高校の卒業の条件は、公立も私立も同じで、下記の3つです。
・3年以上在籍すること
・必履修科目をすべて履修し、74単位以上を修得すること
・特別活動に30単位時間以上参加すること
計画を立てて取り組まないと、すぐに流されてしまい、時間ばかりが過ぎてしまいます。
通信制高校を選ぶ場合は学習の進め方の相談やサポートがある学校を選ぶと安心です。
