通信制高校はカウンセラーのサポートが魅力!
通信制高校は教室で授業を受けるのではなく、自宅や図書館で自分で学習します。そのため、孤独を感じたり、遊びなどの誘惑に負けたりしてしまうことがあります。
一方、中学校や高校で不登校を経験した人は対人面で不安を感じています。
このようにさまざまな理由で「通信制高校を卒業できるかどうか心配」という人が多いのではないでしょうか。
そういった人のために多くの通信制高校ではサポートに力を入れています。
このページでは通信制高校のサポート体制やカウンセリングについてご紹介します。
通信制高校のサポート体制とカウンセリング
ある調査では、通信制高校の生徒の約6割が不登校を経験しているといいます。
中学校時代に不登校になり全日制高校への進学ができない人や、高校には進学したものの学校に合わない、先生や友だちとの関係が悪化したなど、心に何らかの傷を負っている人が通信制高校を選択するケースが多いのが現実です。
通信制高校では心のケアにも取り組む
学業に集中できるのは健康な心と身体があればこそです。
特に不登校や対人面で不安を抱える人が多い通信制高校では、勉強だけに力を入れてもいい結果が得られません。
そこで多くの通信制高校では生徒の心のケアをするために、スクールカウンセラーを常駐させていたり、担任の先生がカウンセラーの資格を取得していたりします。
通信制高校でのカウンセリングの必要性
不登校になった原因は人それぞれですが、そのときに悩みを相談できる相手が誰もいなかったというのも大きいのではないでしょうか。
通信制高校は全日制高校よりも登校する日数がずっと少ないとはいえ、悩みを相談できる相手がいなければまた不登校を繰り返すことになってしまいます。
通信制高校のカウンセラーは不登校になった原因と向き合って、それを自らの力で克服できるよう力を貸してくれます。それ以外にも、卒業後の進路や目標設定などあらゆる面で相談に乗ってくれます。
なお、通信制高校ではカウンセラー以外にソーシャルワーカーや特別支援教育コーディネーターなどを配置しているところもあります。
通信制高校に配置されているカウンセラーとは
通信制高校に限らず小中高などの学校機関には、スクールカウンセラーなどのカウンセラーが配置されるところが増えてきました。
学校関連のカウンセラーの職種と業務内容について見ていきましょう。
学校関連のカウンセラー
学校関連に携わるカウンセラーには、次のような種類があります。
- スクールカウンセラー(SC )
- スクールアドバイザー(SA )
- スクールソーシャルワーカー(SSW )
スクールカウンセラー(SC)とは
スクールカウンセラーは児童・生徒の不登校や問題行動、発達上の課題などについて、児童・生徒だけでなく保護者や教職員に対して相談面接やカウンセリングを実施します。
例えば不登校やひきもりになってしまい家から出ることのできない生徒に対しては定期的な家庭訪問も行っています。家庭訪問をして、学習指導、一般スクーリングや行事への参加の応援などを行ってくれます。
一方、保護者に対して教育方針や子育てなどさまざまなことについてアドバイスをしています。
また、災害や事件・事故などに際して心のケアやPTSDの対策などもスクールカウンセラーが行います。2011年3月に発生した東日本大震災時には支援として文部科学省が臨床心理士を現地に派遣しました。
その後も、文部科学省は児童・生徒の心のケアを中心にスクールカウンセラーの派遣を行っています。
スクールカウンセラーの資格要件には臨床心理士や精神科医、大学教員などがあります。なお、スクールカウンセラーは非常勤職がほとんどで、学校に常勤することはありません。
スクールアドバイザー(SA)とは
スクールカウンセラー事業は文部科学省が中心に行っていますが、スクールアドバイザーは地方自治体や教育委員会が中心に事業を展開しています。
ただ、すべての地方自治体が事業をしているというわけではありませんし、各自治体の予算の関係でスクールアドバイザーがいても活動期間が短期間に限定されているところもあります。
スクールアドバイザーは臨床心理士や精神科医、大学教員などが任用を受けて活動しています。
スクールソーシャルワーカー(SSW)とは
ソーシャルワーカーとは社会的弱者に対して福祉相談を行う人のことを指します。スクールソーシャルワーカーはソーシャルワーカーの中でも特に教育機関を対象に業務を行います。
スクールソーシャルワーカーは社会福祉士や精神保健福祉士などの資格を持つ人や、過去に福祉・教育分野での活動実績がある人が任用されます。
通信制高校でのカウンセリングとサポート体制
このように教育機関で生徒・保護者のカウンセリングのために専門のカウンセラーが配置されます。
では、通信制高校での配置状況を見てみましょう。
通信制高校でのカウンセラーの配置状況
文部科学省の調査によると、全通信制高校の中でスクールカウンセラーを配置しているのは59.7%で、約6割の学校でスクールカウンセラーを配置していることがわかります。
通信制高校のスクールカウンセラーは週1回程度
通信制高校でスクールカウンセラーが配置されている場合でも、常勤で毎日来ているというケースは下記のように全体の13%と少なく、週1日だけがもっとも多くなっています。
また、約1割は月に1回だけです。
常勤で配置しているところ | 13% |
週に1日だけ配置 | 36.4% |
週に2日配置 | 7.8% |
月に1回配置 | 9.1% |
月に2回配置 | 10.4% |
その他 | 23.4% |
また、ソーシャルワーカーの配置状況は、通信制では常勤が0.8%、非常勤が0.8%と少ないながらも配置している学校があります。
学校独自のサポート体制
通信制高校では上記のような資格を持つカウンセラーを配置する他、独自に個別相談室などを設けて生徒のサポートを実施しています。
いくつかの学校の例をご紹介しましょう。
NHK学園高等学校
NHK学園高等学校では本校(東京都国立市)に「総合教育相談・学習支援センター」を設置し、下記のような専門員を置いて相談やサポートを行っています。
配置されている専門員 | サポート内容 |
---|---|
スクールカウンセラー | 生徒の心の問題に対応 東京本校の他、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡のまなびやでも対応可能 |
スクールソーシャルワーカー (社会福祉士) |
生徒を取り巻く生活や社会環境の相談・調整を行う |
特別支援学校教諭免許保持者 | 障がいがある人のサポート |
養護教諭 | 身体とこころの健康をサポート |
NHK学園は日本で最初にできた通信制高校です。それだけに通信制で学ぶ生徒の悩みや不安、問題点などを把握しているのですね。
ヒューマンキャンパス高等学校
ヒューマンキャンパス高等学校では、次のようにさまざまなサポートを行っています。
- 学習の進め方の相談
- 日常生活の悩み相談
- 大学進学や就職など進路相談
- 海外留学の相談
- 卒業後のキャリアサポート
在学中の相談やサポートを実施している高校は多いですが、ヒューマンキャンパス高等学校では卒業後のサポートまで行っているのが特徴です。
通信制高校選びにはサポートの有無もチェック
もし入学に関しての不安や対人面での心配などがある場合は、資料を取り寄せる際に「カウンセラーがいるかどうか」を調べてみましょう。どんなカウンセラーの資格を持っているのか、サポート体制はどうなのかといったことも調べてみることをおすすめします。
ただ、学校選びはカウンセラーだけで決めるわけではありません。カウンセラーのサポートは通信制高校の一部分です。やりたい科目があるかどうか、受講システム(スクーリングの日数など)や学費などさまざまな角度から検討してみましょう。資料だけでわからない場合は、直接学校に行って聞いてみるといいですよ。
生徒への対応や姿勢などがわかるので、学校選びの参考になります。