不登校に対する周囲の対応のポイントと通信制高校で高卒を目指す方法

文部科学省の調査(令和6年度)では、不登校の中学生は全国で216,266人、高校生は67,782人います。
出典:文部科学省『令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』
親や学校の先生など周囲の人もその対応に苦慮しますが、何と言っても学校に行けない本人も悩んだり、つらい思いをしたりしてしまいます。
このページでは、子どもが中学校・高校を不登校になってしまった場合の周囲の対応と、進路の選択肢として通信制高校が利用できるという点について詳しく解説していきます。
不登校の子どもへの対応~国や学校の取り組み
「わが子が学校に行かなくなった」と不登校に直面すると、親は戸惑ってしまいます。叱ったり、なだめたりとさまざまな手を尽くそうとすることでしょう。
不登校に関しては、家庭や学校だけでなく国としても支援や対策に取り組んでいます。文部科学省が毎年行っている「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果(令和6年度)と、国の不登校対策から、いくつかご紹介します。
なお、ここでの不登校とは連続または断続して年間30日以上欠席し、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある(ただし、病気や経済的な理由によるものを除く)」と定義しています。
学校が把握した事実
文部科学省の調査では、不登校の児童生徒について学校が把握した事実(複数回答)を調べています。令和6年度の結果で多かったものは次のとおりです。
小・中学校
- 学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった……30.1%
- 生活リズムの不調に関する相談があった……25.0%
- 不安・抑うつの相談があった……24.3%
- 学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた……15.6%
高等学校
- 学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった……26.9%
- 生活リズムの不調に関する相談があった……26.2%
- 不安・抑うつの相談があった……16.0%
- 学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた……12.8%
これらは、学校が把握した事実を集計したものです。不登校の原因を調べたものではないので、ひとりひとりの事情はそれぞれ異なります。
出典:文部科学省『令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』
家庭問題が背景にある場合も
不登校の背景にあるものとして近年注目されているのが、「ネグレクト」や「児童虐待」など家庭内の問題です。
さらにその背景には貧困家庭などの事情もあります。
特にネグレクトでは子どもを学校に行かせない、朝起こして登校をうながさないといったケースがあります。また、保護者が宿題を見ないために学習のつまずきをそのままにして、勉強がわからなくなり不登校につながるケースもあります。
不登校に対する取り組み
文部科学省は、令和5年3月に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」をまとめ、次のような取り組みを進めています。
| 取り組み | 内容 |
|---|---|
| 学びの多様化学校 | 不登校の児童生徒に合わせた特別の教育課程を組める学校(旧称:不登校特例校) |
| 校内教育支援センター | 学校の中に設ける、自分のクラスに入りづらい児童生徒の学びの場(スペシャルサポートルームなど) |
| 教育支援センター | 教育委員会が設ける、不登校の児童生徒や保護者の支援の拠点 |
| 「チーム学校」での支援 | 教師とスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどが連携して早めに支援する |
具体的な支援の方法は各学校や地域によって異なりますが、文部科学省としても、不登校の児童生徒が学びたいと思ったときに学べる環境を整えるために取り組んでいます。
出典:文部科学省『誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)』(令和5年3月)
不登校の予兆を早期に発見するチェックポイント

もし子どもが不登校になったら、どうすればいいのでしょうか。
まず親がやるべきことは、その原因を探ることです。原因がわかれば、学校と協力して対策を練ることができます。
しかし、不登校(学校に行かなくなって30日以上が経過するとき)になってからあれこれと聞き出しても、子どもは心を閉ざしてしまっている可能性があります。
そうなる前にもっと会話を増やしておきたいもの。そのためには、ふだんから子供としっかりとコミュニケーションをとっておくことが大切です。
また、原因がわかった場合でも、子どもを責めることのないように注意しましょう。
不登校になる前のチェックポイント
上でもご紹介したように、学校が把握した事実として多いのは、学校生活にやる気が出ない、生活リズムの不調、不安や気分の落ち込み、勉強がわからないといったことです。
そのため、子どもの様子から次の点をチェックしてみましょう。
なお、これは小学生から高校生まですべてが対象です
- 表情がなんとなく暗くなった
- 学校のことをあまり話したがらない
- テストの結果を隠す
- 朝、なかなか起きて来ない
- 夜遅くまでスマホを触ったり、ゲームをしたりしている
- 親に隠し事をしている
- 必要以上のお金を欲しがる
中高生の不登校のチェックポイント
また、中学・高校生の場合は遊びや非行も不登校の要因になるため、次の点もチェックしてみましょう。
- 帰りが遅くなる
- 外泊をする
- 服装が派手になる
- タバコのにおいがする
- 高額なお金を欲しがる
非行に走らない場合でも、バイトの時間を増やしたりするとお金儲けの方が楽しくなってしまいます。さらにバイトの疲れで宿題ができない、授業中に居眠りをしてしまう……などが重なって、次第に学校が遠のいてしまうので要注意です。
不登校になった子どもへの家庭での対応
不登校になり原因がわかった後は、子どもとじっくり話し合ってみましょう。そのときに注意したいポイントをご紹介します。
不登校になった子どもへ対応~3つの注意点
- 子どもを否定しない
- プレッシャーを与えない
- 子どもの気持ちを尊重する
では、1つずつご説明します。
否定しない
不登校という現実を目の前にすると、親は「冷静になろう」と思っていてもつい子どもを叱りつけてしまいがちです。
会話ではまず相手を否定しないことが大切です。特に「お前が悪い」と決めつけると、子どもは親に対して心を閉ざしてしまいます。その後の関係が悪化し、修復するのに時間がかかることも。どんな言い分であっても、子どもの意見を聞いてあげましょう。
プレッシャーを与えない
親は子どもに対しては、なんとか学校に行ってほしいという気持ちが働きます。特に
「高校くらい出なきゃ社会で通用しないよ」
「中卒ではかっこ悪い」
「友だちの(または親せきの)○○ちゃんはいい成績を取って、△△校に進学を決めたらしいよ。お母さんは会わす顔がない」
「自分の人生なんだから、早く決めなさい」
など、子どもを追い込まないように気をつけましょう。
今は何歳になっても高卒の学歴を取ることができますし、対人関係で不安を感じる場合は自宅学習が中心の通信制高校で学ぶ道もあります。
まず親がおおらかな気持ちで受け止めてあげましょう。
子どもの気持ちを尊重する
子どもは自分の気持ちをうまく説明できません。何か言いたそうにしていたら、親が先に答えを言わずに最後まで聞いてあげましょう。
また、子どもはどんな選択肢があるかも理解していません。保護者の方が通信制高校という方法があることを教えてあげましょう。
不登校の子どもに通信制高校がおススメの理由
不登校になった子どもが高卒の資格を取得するには、「高等学校卒業程度認定試験(略して高卒認定試験)」(旧大検)と「通信制高校」を卒業する方法があります。
両者の違いを知っておきましょう。
高卒認定試験と通信制高校の違い
高卒認定試験に合格すると、高校を卒業していなくても高卒と同程度の学力があるとみなされて大学(短大・専門学校を含む)を受験することができます。ただし、大学を卒業しないと学歴は中卒になってしまいます。
また、学校に通うことなく、自力で勉強しなければなりません。
一方、通信制高校は自宅で教科書やインターネットを使って学習し、課題レポートに取り組みます。レポートは教科書を見ながらできるので、それほど難しいものではありません。
登校は少ない学校では年に数日のスクーリングだけなので、不登校の人でも不安なく参加できます。
このようにして3年以上かけて74単位を修得することで、高校卒業ができます。
通信制高校は不登校の人でも安心して学べる
通信制高校は不登校の人や働きながら高校を卒業したい人、スポーツや芸能活動に取り組みたい人など、さまざまな状況の人が学んでいます。
その理由として次の点があげられます。
- 自宅学習が中心なので自分のペースで勉強できる
- 登校日数が少ないので不登校や対人面で不安な人でも安心
- 卒業までに何年かかってもいい
- 中学校の学習でつまずいたところから復習できる
- 個人指導やサポートが手厚い
- 将来に役立つ資格や技能が習得できる
- 不登校に理解がある
特に私立の通信制高校は不登校生徒に対しての理解があり、柔軟な対応や個人指導を行っています。
通信制高校なら中学校からの進学や高校からの転入も可能
中学校で不登校になった人が全日制高校に進学するのは勇気がいります。入試には合格しても、高校になじめないとまた不登校を繰り返す可能性もあります。
中学校ですでに不登校になった人は、進学先として通信制高校を検討してはいかがでしょうか。
私立の通信制高校にはさまざまなコースがあるので、子どもの興味や関心がある道に進むことができます。
一方、高校に進学したものの不登校になってしまった場合は、退学する前なら通信制高校に転入する方法があります。また、すでに高校を中退してしまった場合は編入して学び直すことができます。
いずれの場合でも全日制高校で修得した単位は引き継げるので、その分学習が楽になります。(単位引き継ぎの条件は学校によって異なります。)
「不登校=ダメなこと」ではありません。不登校でも高校卒業が可能ですし、むしろ全日制高校では学べない多種多様なコースがあるので、明るい未来が開けるのではないでしょうか。
不登校でも高校卒業は可能!
わが子が不登校になると、親は子どもを責めたり、世間体を気にしたりしがちです。
しかし、一番悩み、苦しんでいるのは子ども本人です。
まずは子どもの話をじっくり聞いてあげましょう。その上で将来のことを話し合うことが大切です。
通信制高校なら自宅学習で高校卒業資格を取得できます。さまざまなコースがあるので、興味を持つ学校を探してみましょう。
