通信制高校の通学範囲に要注意!広域と狭域の違いは?

通信制高校には公立と私立があります。また、私立には広域と狭域があり、それぞれに入学できる地域が異なります。
通信制高校を選ぶ際には、こういった通学範囲(入学可能範囲)に注意する必要があります。
公立と私立の通信制高校の通学範囲の違い
日本の小中高校には「学区」があり、公立と私立で入学できる範囲が異なります。公立の学校は設立している地方公共団体の住民を対象にしています。そのため、市区町村立の場合は、それぞれの地区に住んでいる人が入学できます。
高等学校の場合、全日制高校は都道府県立でも学区を設けていて同じ都道府県内でも学区外の高校には入学できない場合があります。(最近は学区制を廃止している都道府県が増えています。)
公立の通信制高校の通学範囲
公立の通信制高校は、多くの県で1校~3校程度です。また、公立の通信制高校のほとんどは狭域で、入学できるのは学校所在地と同じ都道府県に居住する人か勤務する人に限られています。
なお、この場合に「居住または勤務する人」とは、入学する生徒本人のことです。例えば父親が東京都内に住んでいて子どもが千葉県に住んでいる場合は、東京都立の通信制高校に入学することはできません。
また、本人と家族がともに千葉県に住んでいても、本人が東京都内で働いている場合は入学が可能です。
出典:東京都教育委員会『令和9年度東京都立高等学校定時制課程通信制課程入学案内』、文部科学省『学校基本調査』(令和7年度)、文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
公立通信制高校の通学範囲の注意点
公立の通信制高校は学校がある都道府県内に居住または勤務している人が対象ですが、お住まいの都道府県の面積が広い場合は自分の家から学校までかなり距離があるというケースがあります。
通信制高校はほとんどが自宅学習で、登校するのはスクーリングと学校行事などの特別活動のときだけですが、それでも年間で何回かは行くことになります。
その際に学校が遠いとか交通の便(電車・バスの本数や乗り換えなど)が悪いと通学が不便です。
しかし、近隣の都道府県の通信制高校の方が近くて便利というケースでも、そこに居住または勤務していないと入学できません。
公立の場合は自分が入学可能かどうかをよく考えることが大切です。
私立の通信制高校の通学範囲
一方、私立には公立ほど厳密な規制は設けられていません。また、私立にはほぼ全国どこからでも入学が可能な「広域」と限られたエリアだけの「狭域」があり、それぞれに通学範囲が異なります。
では、次に広域と狭域の違いを見ていきましょう。
広域の通信制高校の通学範囲
通信制高校のうち、学校の所在する都道府県に住む人のほか、全国的にほかの都道府県に住む人もあわせて生徒とするものを、学校教育法第54条第3項で「広域の通信制の課程」といいます。
学校教育法施行令第24条では、所在する都道府県のほか、2つ以上の都道府県に住む人をあわせて生徒とするものとされています。
出典:e-Gov法令検索『学校教育法』、e-Gov法令検索『学校教育法施行令』
広域通信制高校のしくみ
広域の通信制高校は高校の本校所在地以外の都道府県に住む人でも入学できます。
ただ、スクーリングのために年間数日は登校する必要があります。そのときのために広域の通信制高校では全国に分校や協力校、学習センターなどを設け、そこでスクーリングを行うようにしています。
また、本校に5日間~1週間ほど滞在して「集中スクーリング」を行う学校もあります。
広域の通信制高校の例
2003年(平成15年)10月から株式会社立の学校が認められたこともあり、広域の通信制高校は増えてきました。令和7年度は、通信制高校323校のうち広域が133校、狭域が190校です。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
また、広域の通信制高校にはさまざまな形があります。いくつかご紹介しましょう。
NHK学園高等学校
NHK学園高等学校は1963年に日本で初めての広域通信制高等学校として開校した、60年以上の歴史がある学校です。
本校は東京都国立市にあり、全国各地に協力校(スクーリング会場)があります。普段の学習では、NHK高校講座の番組をネットで視聴して学びます。これまでに8万人以上が卒業しています。
また、海外に住む生徒も、ネット学習と年1回5~6日間の登校で卒業を目指せるのが特徴です。
クラーク記念国際高等学校
クラーク記念国際高等学校は1992年に開校しました。「Boys, be ambitious(君よ、大志を抱け)」の言葉で有名なウィリアム・S・クラーク博士の精神を受け継ぐ高校として知られています。
国内の各地にキャンパスがあり、例えば東京キャンパスには総合進学コースのほか、美術デザインコース、インターナショナルコース、スポーツコース(フットサル専攻)、ペット生命科学コースなどがあります。キャンパスによって選べるコースが違います。
オーストラリアキャンパスへの留学も可能です。
(各校の紹介は、2026年10月時点の公式サイトによる)
出典:NHK学園『60年の歩み』、NHK学園高等学校『NHK高校講座』、同『海外在住・渡航予定の方』、クラーク記念国際高等学校『クラーク記念国際高等学校を知ろう』、同『サイトマップ』、同『国際・英語教育について』
狭域の通信制高校の通学範囲
「狭域」の通信制高校とは、広域ではない通信制高校のことで、学校の所在する都道府県だけ、またはほかに1つの都道府県までに住む人を対象に生徒を募集している高校のことです。「狭域」は法令の用語ではなく、文部科学省の調査などで使われている呼び方です。
狭域の通信制高校の例
近年は広域の通信制高校が増えていますが、下記のように狭域の通信制高校もあります。
| 学校名 | 本校の所在地 | 入学可能地域(※) |
|---|---|---|
| ぎふ国際高等学校 | 岐阜県岐阜市 | 岐阜県・愛知県 |
| 司学館高等学校 | 滋賀県東近江市 | 滋賀県・京都府 |
| キラリ高等学校 | 静岡県榛原郡吉田町 | 静岡県 |
(2026年10月時点の各校の公式サイトによる)
(※:入学可能地域はその地域に生徒が居住しているということです)
このように「狭域」の学校には、本校がある県とその隣の県を対象にしている学校もあれば、キラリ高等学校のように本校所在地と同じ県だけに限定している学校もあります。
出典:ぎふ国際高等学校『中学生向け募集要項』、司学館高等学校『入学要項』、キラリ高等学校『新入学』
広域と狭域の通信制高校を選ぶ際の注意点
通信制高校を選ぶ際に、広域か狭域かで迷うことがあるかも知れません。その場合の学校選びの注意点を知っておきましょう。
広域と狭域の違いを理解することが大切
広域の通信制高校は、広く全国各地から生徒を募集しています。そのため、学習センターやサポート校の数が多く、スクーリングに参加しやすいというメリットがあります。
一方、狭域の場合はスクーリングの会場が本校やその近くに限られることがあり、住んでいる場所によっては参加しにくい場合があります。
また、広域の通信制高校はコースが多彩という特徴があります。ユニークなコースがたくさんありますが、狭域の通信制高校ではそれほど多くのコースは設けられていません。
入学を検討する際にはこのような違いを踏まえて、多くの学校から資料請求をして内容をよく比較することが大切です。
広域だから安心というわけではない
広域の通信制高校にはさまざまなコースがあり、サポートにも力を入れているなど魅力的な点が多いのですが、文部科学省の調査(平成25年)では、添削指導を採点や正解の記載だけで行っている広域通信制高校が約4割あるなどの問題点が浮かび上がりました。
文部科学省では「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」(令和5年2月一部改訂)を定め、取り組んでいます。
出典:文部科学省『広域通信制高校に関する集中改革プログラム』、文部科学省『高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン』
通信制高校を選ぶ際には、「広域だから」「有名校だから」という理由だけでなく、本当に自分がやりたいことができるのかどうか、スクーリングに参加することは可能かどうかなど、幅広い視点で考えるようにしましょう。
通信制高校の通学範囲
公立の通信制高校は学校所在地と同じ都道府県に生徒本人が居住または勤務していることが条件です。
私立の通信制高校の場合は、全国から入学が可能な「広域」と地域限定の「狭域」があります。
通信制高校を選ぶ際には、各学校のコースやサポート体制、スクーリングの実施場所などをよく調べて検討することが重要です!
