通信制高校で学びながら自然に触れ合う「自然体験」のスクーリング
通信制高校は自宅でひとりで勉強するというイメージがあります。また、平日は仕事をして夜間や休日にサポートを作成するというスタイルが多く、そのために「孤独」「身体を動かさない」「誰とも話をしない」といった印象をお持ちの人が多いのではないでしょうか。
しかし、多くの通信制高校では平日に登校するスタイルを導入しています。中にはスクーリングを利用して自然体験を行っているところもあり、海や山などそれぞれの学校の立地を活かしたカリキュラムがあります。
通信制高校が行う自然体験とは
一般の通信制高校のスクーリングは月に1~2回、または年に10回~20回など定期的に学校に行って面接指導を受けます。その多くは自宅から近い校舎や学習センターで実施されます。
しかし、集中スクーリングは広域の通信制高校の本校に行って、1週間~10日ほど宿泊してスクーリングに参加します。その期間に面接指導や特別活動を実施して、通信制高校の卒業に必要な条件をクリアするようになっています。
集中スクーリングの中でも特に自然あふれる環境で宿泊して、普段はできない体験を行うのが自然体験型のスクーリングです。
スクーリングで自然体験を行う目的
通信制高校が実施している自然体験には、次のようにさまざまな目的があります。
- 健康づくり
- 友達や先生との交流を深める
- 自然や環境問題への関心を深める
- 人と関わったり、我慢したりといった体験を通して「生きる力」を育てる
- 問題解決能力を育てる
- 生活改善
また、当初の目的は「自然に触れる」というものであった場合でも、自然体験をするうちに「対人面で不安があったが人と楽しく関われた」とか「同級生と協力して活動できた」など多くの成果が得られたという声が多いようです。
では、実際にどのようなことをしているのでしょうか。いくつかの学校の例をご紹介します。
通信制高校でできる自然体験の例
集中スクーリングを実施している通信制高校では、雄大な自然の中でさまざまな体験をできるように工夫しています。
クラーク記念国際高校の北海道体験学習
クラーク記念国際高校の本校は北海道深川市にあります。そこから車で10分ほど走ったところに「北の大地 元気の泉キャンパス」があります。
ここは東京ドームの約14倍の広さがあり、宿泊施設には200人が収容できます。
ウインタースポーツだけでなく農業体験や川遊びも
「北の大地 元気の泉キャンパス」では、冬はスキーやスノーボード、夏は農業体験や川でラフティングを楽しみます。
元気の泉キャンパスに隣接する「クラーク夢農場」ではジャガイモやトウモロコシ、大豆など北海道ならではの農作物を作ります。収穫した野菜で同校オリジナルのトマトジュースもできるのだとか。
三浦雄一郎氏が校長を務めているのですが、三浦校長特製のお鍋を食べる企画もあります。普段の生活では体験できないさまざまな経験ができるのが魅力ですね。
屋久島の自然体験ができる屋久島おおぞら高等学校
屋久島おおぞら高等学校の本校は鹿児島県の屋久島にあります。普段ならなかなか行けないところですが、同校ではここで集中スクーリングを行っています。
世界自然遺産を体感
屋久島は鹿児島県の南南西に位置する島で、世界自然遺産に指定されています。樹齢2700年といわれる縄文杉や屋久杉などが生い茂る様子は神秘的な雰囲気があります。
また、珍しい動物や昆虫なども豊富で、ウミガメの産卵なども見られます。
スクーリングは年に1回、この屋久島で自然体験を行います。
なぜ屋久島に行くのか不思議に思う人がいるかも知れません。それは「ホリスティック教育」という「生きる力」を引き出すためです。ホリスティック教育は人と人との絆や自然との共生などを感じることを目的にしています。
このスクーリングには同校の生徒が全員参加します。そして、自然の中を散策したり、トレッキングしたり、また問題解決実習などを実施します。ここでの体験がいい思い出になったとか、自分が変わるきっかけになったという感想が多いようです。
屋久島おおぞら高校の普段の学習
本校が屋久島と聞いてちょっと驚いている人がいるかも知れません。しかし、普段の学習は自宅でできます。
それが通信制高校のメリットでもあるのですが、学習の進め方に不安がある人はいつでも学校に連絡して相談することができます。
同校は担任制になっているので、学習の進め方だけでなくテキストでわからないところがある場合も電話やメールでの相談が可能です。
また、通学したいという人は全国に約40か所あるサポート校に通うこともできます。
「もう一度行きたい」と思える八洲学園大学国際高等学校の沖縄スクーリング
八洲学園大学国際高等学校は沖縄県に本校があります。
同校ではスクーリングの日数をなるべく少なくしようと考えて、年に1回、沖縄で5泊6日の集中スクーリングを実施しています。
自分の都合に合わせて参加できる
このような宿泊型の集中スクーリングは他の通信制高校でも実施していますが、多くは「〇月〇日~△日まで」と決められています。
そのため、仕事がある人は事前に休みを取る必要があります。
しかし、同校の集中スクーリングは4月と10月以外は毎月実施しています。仕事の繁忙期を避けて休みを取るなど、参加しやすい配慮がなされています。
リゾートホテルに宿泊して自然を満喫
同校の沖縄スクーリングは学校敷地内にある宿泊棟を利用するほか、近隣のリゾートホテルに滞在することも可能です。
スクーリングの内容は面接指導のほか、特別活動、単位修得試験などが行われますが、特に特別活動としてはマリンスポーツ、美ら海水族館の見学、沖縄の民族芸能を体験するなど幅広い内容が準備されています。
開催時期によって内容が異なるので、自分のやりたい内容から参加日程を決めるという方法もできますね。
飛鳥未来高等学校の生活改善プログラム
飛鳥未来高等学校は宮古島で「生活改善プログラム」を実施しています。これは全国各地のキャンパスに在籍している生徒に対して募集し、応募した人が参加するというものです。
自然体験やグループワークを通して環境問題を考えたり、友達と話し合うことで意見を述べたりといった経験をします。
参加した人によると「参加することで積極的になれた」「楽しい思い出ができた」と好評です。
強制ではありませんし、年によっては開催されない可能性がありますが、開催される場合はぜひ参加されるといいですよ。
無人島体験や魚釣りができる勇志国際高等学校
勇志国際高等学校の本校は熊本県天草市にあります。
普段の学習は自宅で行い、集中スクーリングは本校のある天草市で実施されます。
天草の自然の中で非日常を体験
勇志国際高等学校の集中スクーリングでは、次のような内容が体験できます。
- 無人島体験
- 船つくり
- 魚釣りと魚拓つくり
- 登山
- 伝馬船体験
- バーベキュー
など
このほか、普段は会えない先生から直接授業を受ける時間もあります。
参加者のニーズに合わせたスクーリング
同校の集中スクーリングは年に15回以上開催されています。
しかも、参加者のニーズに合わせて「10代限定」「20歳以上の社会人コース」「少人数コース」などが設けられています。
せっかく集中スクーリングに参加したのに、年が離れている人ばかりで話が合わなかったとか、人と会話するのが苦手なので少人数の方がいいという人でも安心して参加できるように配慮されています。
なお、同校の集中スクーリングは熊本県の本校でのみ実施されています。他には千葉と福岡でもスクーリングがありますが、こちらは集中スクーリングではなく年に10回程度、通うことになります。
自分で都合のいい方を選択できます。
集中スクーリングで自然体験が可能
私立の通信制高校の中には大自然を体験できる集中スクーリングを実施しているところがあります。
数日間宿泊して現地の自然を体験します。それもスクーリングの時間として計上される上に非日常が体験できる、全国に友達ができるなど好評です。
通信制高校を選ぶ際には、スクーリングの内容もチェックしてみましょう。
※なお、紹介している内容は変更になる場合があります。詳しくはそれぞれの学校のホームページでご確認をお願いします。