高卒認定試験の科目と免除・日程|通信制高校との違い

高校を卒業しなくても「高卒と同等の学力がある」と認められるのが「高卒認定試験」です。
高卒認定試験に合格すると、高校を卒業していなくても大学・短大・専門学校の入学資格が得られ、就職や資格試験で高校卒業者と同等に扱われることもあります。18歳未満で合格した場合は、18歳の誕生日から合格者になります。
当記事ではそんな高卒認定試験の試験科目や受験内容についてご説明します。
高卒認定試験の科目一覧
合格に必要なのは9科目から10科目
高卒認定試験の試験科目は、令和8年度の試験では次の7教科です。理科以外はすべて必修で、理科は2科目か3科目を選んで受験します。
令和6年度第1回の試験から地理歴史・公民の科目が変わり、令和8年度第1回の試験から「情報」が加わりました。
| 教科 | 試験科目 |
|---|---|
| 国語 | 国語(必修) |
| 地理歴史 | 地理(必修) 歴史(必修) |
| 公民 | 公共(必修) |
| 数学 | 数学(必修) |
| 理科 | 「科学と人間生活」+基礎科目から1科目(計2科目) または基礎科目から3科目 |
| 外国語 | 英語(必修) |
| 情報 | 情報(必修) |
基礎科目は「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」の4つです。
出典:文部科学省『令和8年度高等学校卒業程度認定試験実施要項』、文部科学省『高等学校卒業程度認定試験における試験科目、合格要件、免除科目、出題範囲の変更等について』
理科を「科学と人間生活」を含む2科目にすると、合格に必要なのは9科目です。基礎科目を3科目にすると10科目になります。
理科以外の7科目はすべて必修なので、受験する科目を選べるのは理科だけです。
令和5年度までに合格した科目の扱い
令和5年度第2回までの試験で合格した旧科目は、新しい科目の合格(免除)として扱われます。
- 「世界史A」「世界史B」「日本史A」「日本史B」のどれかに合格 →「歴史」
- 「地理A」「地理B」のどちらかに合格 →「地理」
- 「現代社会」の1科目、または「倫理」「政治・経済」の2科目に合格 →「公共」
世界史と日本史の両方に合格していても、免除になるのは「歴史」だけで、「地理」は別に合格する必要があります。また「倫理」「政治・経済」のどちらか1科目だけの合格では、「公共」の合格が必要です。
出典:文部科学省『高等学校卒業程度認定試験における試験科目、合格要件、免除科目、出題範囲の変更等について』
合格のコツは、免除の制度を使って受験する科目を減らし、勉強時間を集中させることです。
高卒認定試験の科目におけるポイント
合格した科目は次回から免除される
高卒認定試験は一度に全科目に合格できなくても大丈夫です。過去に合格した科目は、次の試験で免除されるからです。
また、受験する科目を2回の試験に分けて受けることもできます。計画的に勉強を進めることがポイントです。
理科の科目の選び方
理科は以下の①、②のいずれかを選ぶようになっています。
①「科学と人間生活」の1科目と「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち1科目(合計2科目)
②「物理基礎」、「化学基礎」、「生物基礎」、「地学基礎」のうち3科目(合計3科目)
合計2科目で済む①のほうが科目数は少なくなりますが、自分が得意な科目や興味のある科目を選ぶとよいでしょう。
迷う場合は、文部科学省のページで出題範囲や過去の問題を見て、自分に合う科目を選びましょう。
補足:一部の科目に合格していれば大学を受験できる場合がある
高卒認定試験の合格者になるには、合格に必要な科目すべてに合格する必要があります。ただし、一部の科目に合格し、残りの科目を高校で翌年3月までに修得する見込みであれば、「合格見込成績証明書」で大学を受験できます。
残りの科目は、例えば科目履修生を受け入れている通信制高校で、単位を修得する方法があります。
ただし、高校で単位を修得したあとに「合格の申請」をしないと高卒認定試験の合格者にならず、大学に入学できない場合があるので注意しましょう。また、合格見込成績証明書は、高卒認定試験で最低1科目以上に合格していないと発行されません。
出典:文部科学省『高等学校卒業程度認定試験Q&A 大学受験等について』
苦手な科目が残ったときは、通信制高校などで単位を修得して、大学受験を目指す道もあります。
通信制高校選びに迷ったら

なお、高卒認定試験を受けるメリットなどについては、以下の記事で解説しています。
あわせてご覧ください。
高卒認定試験には科目を減らせる免除制度がある
高卒認定試験には受験しなければならない科目を減らせる免除制度があります。
これをうまく利用すれば、勉強に費やす時間も少なくなり、より合格しやすくなります。次のような科目が免除の対象になります。
高校で修得した単位
高校で単位を修得した科目は、文部科学省の様式の「単位修得証明書」(厳封)を出願のときに提出すると、免除になります。履修しただけで単位を修得していない科目は、免除になりません。
ただし、単位修得してから一定以上の期間が経過していると、学校によっては「単位修得証明書」の発行ができない場合があります。事前に学校で確認しておきましょう。
また、高等専門学校で修得した単位も免除の対象になります。
技能審査(英検・数検など)に合格した科目
下記のように、英検や歴史能力検定などの技能審査の所定の級に合格している場合も、「合格証明書」を出願時に提出することで免除になります。
| 試験科目 | 検定名 |
|---|---|
| 歴史 | 歴史能力検定 (世界史1級・2級・3級のどれかと、日本史1級・2級・3級のどれかの両方) |
| 数学 | 実用数学技能検定 (1級、準1級、2級) |
| 英語 | ・実用英語技能検定(1級、準1級、2級、準2級プラス、準2級) ・全商英語検定試験(1級、2級) |
| 情報 | ITパスポート試験 |
(令和8年度の場合)制度は変わる可能性があるので、受験する前によく確認しておきましょう。
高卒認定試験の日程とスケジュール
高卒認定試験は毎年2回実施されます。それぞれ2日間にわたって行われます。事前に文部科学省のホームページで確認しておきましょう。
参考:文部科学省『高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)』
出願から試験、結果発表までの流れは、下記の通りです。
| 項目 | 時期の目安 |
|---|---|
| 受験案内の配布 | 第1回:4月上旬から 第2回:7月下旬から |
| 出願期間 | 第1回:4月上旬~5月中旬 第2回:7月下旬~9月中旬 |
| 試験日 | 第1回:8月上旬 第2回:11月上旬 |
| 結果通知 | 第1回:9月上旬 第2回:12月上旬 |
令和8年度の試験日は、第1回が8月6日・7日、第2回が11月7日・8日です。日程は年度ごとに変わるので、文部科学省のページで確かめましょう。
出典:文部科学省『令和8年度高等学校卒業程度認定試験実施要項』
出願は、受験案内に付いている封筒を使い、文部科学省あてに簡易書留で郵送します(持参での受付はありません)。締め切りの日の消印まで有効で、試験日の2~3か月ほど前に締め切られます。
高卒認定試験の出願方法
出願期限内に、以下の書類を提出します。
- 受験願書
- 写真2枚(4cm×3cm)
- 住民票または戸籍抄本(本籍地の記載のあるもの)
- 受験料分の収入印紙
ただし、次の場合は別途書類が必要になります。
| A | 試験科目の一部免除を申請する場合 | 試験科目の免除に必要な書類(単位修得証明書など) |
|---|---|---|
| B | 過去の高卒認定試験(または大検)で合格した科目がある場合 | 科目合格通知書 |
また、氏名や本籍が変わった人は、変更の経緯がわかる公的な書類も必要になります(住民票や戸籍抄本で確認できる場合は不要)。
高卒認定試験の受験料
受験料は受験科目によって異なります。また受験料は収入印紙で納めます。
| 7科目~10科目 | 8,500円 |
| 4科目~6科目 | 6,500円 |
| 1科目~3科目 | 4,500円 |
なお、もし試験当日に欠席した場合でも、一度納めた受験料は払い戻されないので注意が必要です。
高卒認定試験の試験会場
高卒認定試験の試験会場は、各都道府県に1か所ずつ設けられています(このほか全国の少年院・刑務所などでも実施)。
会場は各地の高校や大学、専門学校の校舎を試験会場として利用するところもあれば、県の公共施設を利用しているところもあります。受験したい会場は、出願時に受験願書で選びます。
また、会場はその年度によって変わる可能性があります。事前に必ず確認しておきましょう。試験日の数日前には会場の確認をしておくと安心です。最寄駅や交通機関などをよく調べておきましょう。
高卒認定試験と通信制高校の卒業の違い
高卒認定試験と通信制高校はどう違うのでしょうか。
高卒認定試験と通信制高校の内容を比較すると、下記のようになります。
| 高卒認定試験 | 通信制高校 | |
|---|---|---|
| 学歴 | 高卒にはならない | 高卒 |
| 学習期間 | 年2回の試験で合格を目指す | 3年以上 |
| 費用 | 受験料4,500円~8,500円 | 授業料・教材費など |
高卒認定試験に合格すると、高校を卒業した人と同等以上の学力があると認められますが、最終学歴は高校卒業にはなりません。参考書・問題集や塾・予備校を利用すると、その費用もかかります。
通信制高校の費用は、公立と私立で大きく違います。授業料には、国の就学支援金が使えます。2026年度から所得制限が撤廃され、私立の通信制高校の場合、授業料が単位制なら1単位あたり13,668円(年間30単位まで)、定額制なら月額28,100円(年額337,200円)が支給の上限です。入学金・施設費などは対象外です。
高卒認定試験は、16歳になる年度から受けられ、早く大学受験をしたい人に向いています。ただし、勉強は独学になることが多く、分からない部分があっても解決しにくいので、学習を続ける強い意志が求められます。
一方、通信制高校は、入学してから卒業までに3年以上かかります(転入・編入なら前の高校の在籍期間や単位を引き継げます)。先生の添削指導や面接指導があり、スクーリングでは友達と会うこともできます。
そして卒業すれば、最終学歴が高校卒業になります。
また、高卒認定試験で合格が難しそうな苦手科目だけ、通信制高校で単位を修得してから大学受験を目指すこともできます。高卒認定試験の合格科目を、学校長の判断で卒業の単位として認める制度もあります。
アニメや声優、ファッションなど、専門分野を学べるコースのある学校もあります(サポート校などの費用は別にかかります)。
通信制高校選びに迷ったら

高卒認定試験の科目まとめ
高卒認定試験は合格を目指す価値のある試験ですが、苦手科目を含めて全てに合格する必要があるため、状況によっては通信制高校での卒業や、苦手科目の単位の修得が向いている場合もあります。
自分の目的、学力に合わせて高卒認定試験を受けるか、それとも通信制高校にするかを考えていきましょう。
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