いつでもどこでもインターネットで勉強できる通信制高校の魅力と注意点
通信制高校の学習スタイルは、入学時にテキストを購入し自宅で勉強するというものです。いわゆる資格取得などの通信講座と同じ形が主流でした。
しかし、最近はインターネットを使って勉強するスタイルを導入している通信制高校が増えています。学習方法や単位修得の方法などについて詳しくご説明していきます。
通信制高校のインターネット学習とは
通信制高校を卒業するには、次のような流れで単位を修得していきます。
- テキスト(教科書)を見ながら勉強する
- レポートを作成し、学校に提出する
- 先生がレポートを添削して返送される
- スクーリングに参加する
- 単位認定試験を受ける
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これを繰り返して3年以上かけて74単位を修得すれば卒業できます。(別に30単位時間の特別活動の参加も卒業の条件になっています。)
インターネット学習の流れ
インターネットを使う授業では、紙のテキスト(教科書)も使いますが、スマホやタブレット端末、パソコンなどの画面を見て学習します。
図やグラフ、地図などがスマホ、タブレット端末などの画面で鮮明に見られる他、先生の授業を動画で見ることもできます。
インターネット学習のメリット
インターネットなら、どこでも空いた時間に画像を見ながら学習できます。テキストを広げられない通勤電車の中やカフェなどでも勉強できるのがメリットです。
また、動画もリアルタイムの授業ではなく録画されたものなので、わからないところを何度も繰り返し見ることができます。教室で受ける授業とは異なり、わかるまで自分のペースで学習できる点が大きなメリットだと言えるでしょう。
インターネット学習を導入している通信制高校の例
では、インターネット学習を行っている通信制高校をいくつかご紹介しましょう。
授業からレポート提出まですべてネットで完結するN学園高等学校
N学園高等学校は学校法人角川ドワンゴ学園が運営している通信制高校です。
出版社のカドカワとIT関連企業のドワンゴが経営統合して誕生した学校だけあって、ITを駆使した授業が特徴です。
他の通信制高校と同じように通学コースもありますが、ネットコースではインターネットを使って学習を進めていきます。
授業は映像を見ながらなので、まるで教室で授業を受けているのと同じ感覚で取り組めます。映像授業が終わるとすぐに「確認テスト」を受け、それに合格すると次の映像授業に進めるというシステムです。
そのため、以前見た映像授業の内容を忘れてしまったということが少なくなります。この確認テストを数回行うとレポートに取り組みますが、レポート提出もネット上で行うので、郵送や持参するといった手間が省けます。
映像授業の内容や教材は教科書会社の「東京書籍」のものを導入しています。
学習の進み具合もネットで確認
生徒は一人ずつ自分の「マイページ」があるので、授業の進み具合や次に取り組む内容などはネットでいつでも確認できます。
先生への質問もマイページからできますし、先生からの返信や連絡もこのページに届くようになっています。
ちなみに保護者もこのマイページは確認できるため、さぼっているとすぐにバレてしまいます。
先生と保護者が見守る中で高校卒業に向かって進んでいけるのがメリットだと言えるでしょう。
ネットコース特進専攻で大学受験対策が可能
N高等学校では中学校の授業についていけなかった人のためのサポートを行っていますが、一方で大学進学に向けた授業も行っています。
「ネットコース特進専攻」では大手予備校での指導経験者や現役の難関大学生がコーチとして指導にあたります。
現状の学力と志望校のレベルを照らし合わせて、目標設定や計画を立てます。そして、ビデオチャットでのやりとりを通して、学習の進み具合の確認や面談を行っています。
一人ずつに寄り添った指導が受けられるのが同校の強みだと言えるでしょう。
スクーリングは沖縄または全国各地の面接会場で実施
N学園高校の本校は沖縄県伊計島にあります。スクーリングは伊計本校で年1回、5日間程度または全国各地にある面接会場に参加します。
インターネット学習が中心でもスクーリングへの参加は必須ですが、修学旅行気分で沖縄に行くのもいいですし、近くの面接会場で参加する方法もあります。
全国の学友と交流できるので本校での参加を楽しみにしている人が多いようです。
わかりやすい授業が好評のルネサンス高校
通信制高校の中でもいち早くインターネット学習を取り入れたのがルネサンス高等学校です。
パソコンやタブレット端末、スマートフォンを通して受ける授業は教室で受けているのと変わらないほどわかりやすく、しかも何度でも見ることができます。
学校の授業はそのときだけですが、わからないところや聞き逃したところを繰り返し見られると助かりますね。
動画の画面は大きく引き伸ばすことができるので、教室の黒板よりも鮮明に見られます。開校当初からインターネット学習に取り組んできた同校では、常に最新機器を使っての授業やレポート作成を実施しています。
ゲーム感覚でレポート作成
同校ではIT機器の進化に合わせて、画像の見え方やレポートの作成方法などを改良してきました。その結果、かなり使いやすい内容になっています。
レポートもインターネットで作成できますが、ほとんどの問題が1問1答形式なので、ゲーム感覚で答えられるのが大きな特徴です。
ルネサンス高校ではタブレット学習の導入により、学力向上につながったと感じている生徒が53.1%を占めているそうです。
これも使いやすさやわかりやすさが功を奏していると言えるでしょう。
テレビ・ラジオとネットを活用するNHK学園高校
NHK学園高校は日本で初めて放送利用を前提とした広域の通信制高校です。当初はNHKラジオやNHK教育テレビ(現在のEテレ)で放映される「通信高校講座」を教材にしていました。
現在でもNHKのEテレやラジオ第2放送などを利用していますが、さらにインターネットを使った「ネット学習コース」や「ネット学習Doitコース」などがあります。
NHK学園高校のネット学習の特徴
NHK高校講座を視聴し、ネット(メール)で質問をしたり、テレビ会議システムを使ってネット上で対面しながら会話をしたりできます。
レポートもインターネット上で提出できます。放送とネットを有効に活用できるため、スクーリングの日数は年間4日程度に抑えられていることが特徴です。
「ネット学習Doitコース」は不登校やひきこもりの人を対象にしたNHK学園高校だけのカリキュラムです。スクーリングの日数が年間で5~10日ほどなので、対人面で不安がある人でも安心です。
また、NHK学園高校のネット学習の海外eコースは海外在住の方でも受講可能です。
年4回のスクーリングは12月に4日連続して行われますので、そのときだけ一時帰国すればOK。スクーリング会場は全国7都市に用意されています。
ICT教育への取り組みが表彰された第一学院高校
第一学院高等学校は最新のICT(情報通信技術)を活用して、生徒一人ひとりに合わせた学習内容を提供しています。
この取り組みが日本e-Learning大賞の「EdTech特別部門賞」を受賞しました。日本e-Learning大賞とは「eラーニングを取り巻く現状と未来」について豊富な事例とともに紹介・発表・議論する国内唯一の総合フォーラム内で開催される、e-Learningを用いた新しい学習の可能性等を表彰する取り組みのことです。
特に同校のMobile HighSchool(通信コース)は仕事をしながら高校卒業を目指す人やスポーツや芸能活動に取り組む人にとって、時間が有効に使えると好評です。
映像や音声を使ったわかりやすい授業が評判
早くからインターネット学習に取り組んできた同校ならではのわかりやすい映像や音声で授業が行われます。
より理解が深まる点もおすすめできるポイントです。
入試の面接もネットで実施する明蓬館高校
明蓬館高校では授業やレポートの作成、提出などすべてをインターネットで行っています。入学する際の面接も遠方にお住まいの方はネットで受けることが可能です。
スクーリングは年間4日程度でいいという点もメリットだと言えます。
インターネット学習の注意点
仕事やスポーツ・芸能活動などで忙しい人や健康面や対人面で不安がある人はインターネット学習に対応している学校を選ぶといいでしょう。
ただ、その場合にはネット学習に必要な環境(対応OSやブラウザ、インターネットの接続環境、プリンターが必要かどうか)などを事前に確認することが大切です。
インターネット学習でもスクーリングは必要
また、インターネット学習で授業からレポート提出まで可能という学校でも、高校卒業のためにスクーリングは必要です。
ネット学習のコースではスクーリングの日数が短い傾向がありますが、それでも0というわけではありません。
特に遠隔地での宿泊(集中)スクーリングの場合は、参加費や交通費がかかりますし、仕事がある人は休みを確保しなければなりません。
同様に30単位時間の特別活動の参加も卒業条件になっています。こちらはインターネット学習などで一定の効果が認められる場合などの条件を満たすと一部の単位が免除されますが、詳しくは学校で聞いてみましょう。
学校選びではそういった面を考慮して、よく調べることが大切です。
通信制高校のネット学習は便利
ネット学習はスマホやパソコン、タブレット端末を使って勉強し、レポートも作成できるという学習方法です。
場所を選ばずどこでも勉強できるので、忙しい人におすすめです。
また、先生への質問や相談もネットでできる点が便利です。
ただし、ネット学習でもスクーリングや特別活動の参加は必須です。各校の条件などをよく確認するようにしましょう。
通信制高校選びに迷ったら