海外に住んでいても日本の通信制高校を卒業できる?
親が海外赴任になり、家族も一緒に海外に引越しするというケースがあります。また、スポーツの遠征やバレエ・音楽など芸術の勉強のために海外に住んでいるという日本人もいます。
そのように国外在住の人でも、日本の通信制高校で勉強することはできるのでしょうか?詳しくご説明します。
日本国外に住む人が高校を卒業する方法
海外(日本国外)に住んでいる人が高校に進学し卒業するには、次のような選択肢があります。
- 現地の高校に入学する方法
- 現地の日本人高校に入学する方法
- 現地のインターナショナルスクールに入学する方法
- 日本の通信制高校に入学する方法
ただ、それぞれにメリット・デメリットがあります。
日本国外に住む人が高校を卒業する場合のメリット・デメリット
どの方法を選ぶにしても、メリットとデメリットをよく理解して検討することが大切です。
現地の高校に入学するメリットとデメリット
現地の高校に入学して勉強する方法は一番自然な流れのように思えますが、授業は現地の言葉で行われます。
英語圏の国なら英語で、それ以外の場合もそれぞれの国の言語で行われます。同級生や先生との会話も当然現地の言語になるので、語学力は向上します。
しかし、高校の場合は授業内容が高度になるため、日常会話のレベルでは授業についていけないでしょう。相当な語学力が必要となります。
また、日本で就職する際に、海外の高校を卒業していても日本の高校卒業としてみなされない場合があるので注意が必要です。
現地の日本人学校に入るメリットとデメリット
日本人が多く住む国では、日本人学校ができています。特に今は海外赴任する人が増えたため、意外な地域にも日本人学校があります。
日本人学校では同級生や先生は日本人なので、授業も日常会話も日本語OKなのがメリットです。親同士も日本人ばかりなので情報交換がやりやすいという点もメリットだと言えます。
しかし、日本人学校の多くは小学校・中学校が中心で高校は少ないのが現状です。希望に合う高校が見つからないというのがデメリットになります。
インターナショナルスクールで学ぶメリットとデメリット
インターナショナルスクールも、それぞれの国の言語や英語が中心になっています。そのため、語学力が必要になります。
語学力が向上する点がメリットではありますが、その国の言葉が理解できないと授業そのものがわからないし、友達との会話も成り立たないというデメリットがあります。
入学には現地(または学校でメインにしている言語)を理解していることが入学の条件になります。
日本の通信制高校で学ぶメリットとデメリット
海外に住みながら、日本の通信制高校で勉強する方法があります。
その場合、授業もテキストもレポートもすべて日本語で行います。また、勉強はインターネットを使って行うので、世界のどこに住んでいても受講が可能という点は大きなメリットになります。
また、通信制高校で単位を修得する条件としてスクーリングに出席するというものがありますが、海外にいる場合は一時帰国の際にまとめて受けることが可能です。
ただし、友達がいない、ひとりで学習を進めなければいけない、高校生活が体験できないなどのデメリットがあります。それをどう克服するかをよく考えて決めるといいでしょう。
そして、公立の通信制高校の場合は、学校所在地の都道府県内に生徒本人が居住するか勤務していることが入学の条件になっています。海外に住んでいる場合は公立高校には入学できないということも知っておきましょう。
海外(日本国外)から受講が可能な通信制高校
海外からでも受講が可能な通信制高校をご紹介します。上でも書いた通り、公立の通信制高校は海外在住では入学できません。
そのため、海外からでも受講が可能なのは私立の通信制高校に限定されます。
NHK学園~海外コース~
NHK学園高校では海外で受講するコースとして「ネット学習海外コース」と「海外特化コース」を設けています。
ネット学習海外コース
ネット学習海外コースはNHK Eテレ(教育放送)とラジオ第2放送の「NHK高校講座」を視聴して、レポートを提出します。
番組の内容はネットでも配信されているので、海外にいてもいつでも何度でも視聴できます。また、学習の要点をまとめた「学習メモ」や理解度を確認する「理解度チェック」もNHKのホームページで見ることができます。
レポートの提出もネットでできるので、海外から時間をかけて郵送する必要はありません。
スクーリングは毎年12月に4日間連続で実施されます。スクーリングは単位修得のために必要ですので、一時帰国して出席するようにしてください。また、それとは別に試験のために一時帰国する必要があります。
レポート提出、スクーリング、単位認定試験の合格などの条件をクリアすると、海外にいながらでも日本の高校卒業資格が取得できます。
海外特化コース
海外特化コースは海外で暮らしている高校生が日本の高校の学習をし、基礎学力を身につけて、帰国後の学習や進学に役立てるためのものです。
教科書や補助教材はNHK学園から送付されます。学習の結果をレポートにまとめて提出します。
レポートは添削されますので、復習が可能です。その上で実力テストを受けて、学習の効果や理解度を測定します。成績評価表も送付されるので、自分の理解度を把握することができます。
なお、海外特化コースでは日本の高校卒業資格は取得できません。ご注意ください!
ルネサンス高等学校
特に海外在住者向けのコースがあるわけではありませんが、インターネットでの学習が中心なので海外に住む人でも入学が可能です。
ただ、スクーリングは茨城県久慈郡、愛知県豊田市、大阪府大阪市の本校に参加する必要があります。
一時帰国は必須となることを理解しておきましょう。
他にも特に海外在住コースなどは設けていなくても、インターネット学習で海外から入学が可能な私立の通信制高校はたくさんあります。
その場合もスクーリングは必ず参加しなければなりません。その費用や日程などもよく確認しておきましょう。
海外に住みながら日本の高校を卒業する方法
家族の海外赴任や本人のスポーツ、芸術活動などのために海外に住む人が増えています。
そういった人が日本の高校を卒業するには私立の通信制高校に入学するのがおすすめです。
インターネット学習なので世界各国のどこにいても学習が可能です。
ただ、自分で計画を立てて、強い意志を持って取り組むこと、スクーリングのために一時帰国する必要があることを忘れないようにしましょう。
なお、公立の通信制高校は学校所在地の都道府県に生徒本人が在住または勤務する人が対象なので、海外在住の人は入学できません。