通信制高校が卒業できない理由とは?中退率や卒業までの年数も紹介

通信制高校にはさまざまな年齢層・職業の人が学んでいます。多くの学校が単位制なので、学年ごとの留年はありません。
3年以上在籍して必要な単位を修得すれば卒業でき、卒業までにかける年数は人によって違います。一方で、令和6年度に通信制高校を中途退学した生徒は10,094人いました。
このページでは、通信制高校の卒業までにかかる年数や中退率、卒業できない人がいる理由などを紹介していきます。
通信制高校の卒業率と卒業までの年数
通信制高校の卒業率は、国の統計では公表されていません。
代わりに、文部科学省が全国の通信制高校に行った調査(令和7年度)から、どのくらいの生徒が卒業までに時間をかけているかがわかります。令和7年5月1日時点の在籍生徒のうち、4年以上在籍している生徒の割合は次のとおりです。
| 学校の設置者 | 4年以上在籍している生徒の割合 |
|---|---|
| 公立 | 25.6% |
| 私立 | 1.9% |
| 株式会社立 | 1.4% |
| 全体 | 6.8% |
令和4年度以降に開校した73校を除いた値です。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
公立の通信制高校では、4人に1人が4年以上かけて学んでいます。在籍できる年数の上限は学校によって違い、仕事と両立しながら自分のペースで卒業を目指す人もいます。
卒業した人の在籍期間
同じ調査では、令和6年度に通信制高校を卒業した90,872人の在籍期間もわかります。
| 在籍期間 | 卒業した人数 |
|---|---|
| 1年未満 | 5,853人 |
| 1年以上3年未満 | 38,209人 |
| 3年間 | 42,667人 |
| 3年より長く4年未満 | 1,098人 |
| 4年間 | 1,775人 |
| 4年より長く6年未満 | 755人 |
| 6年以上 | 515人 |
3年間在籍して卒業した人が42,667人で最も多くなっています。
ほかの高校から転入・編入した人は、前の高校の在籍期間と修得した単位を通算できます。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』(令和6年度卒業生数(在籍期間別))、e-Gov法令検索『単位制高等学校教育規程』(第5条・第7条)
通信制高校が続かない、卒業できない理由や原因とは
文部科学省が調査した中退の理由とその割合をもとに、通信制高校を卒業できない人の理由を見ていきます。令和6年度に中退した生徒が、主な理由を1つ選んで回答した結果です。
| 中退の理由 | 全日制高校 | 通信制高校 |
|---|---|---|
| 学業不振 | 5.7% | 9.2% |
| 学校生活・学業不適応 | 37.9% | 23.4% |
| 別の高校への入学を希望 | 30.5% | 11.1% |
| 就職を希望 | 6.3% | 7.8% |
| 病気・けが・死亡 | 2.9% | 7.6% |
| 経済的理由 | 0.3% | 4.4% |
| 家庭の事情 | 2.3% | 3.9% |
| その他の理由 | 1.7% | 17.7% |
このほかに、進路変更のうちの「高卒程度認定試験受験を希望」などの理由もあります(表では省略)。
出典:文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(令和6年度、e-Stat 表6-4)
通信制高校では「学校生活・学業不適応」が23.4%でいちばん多く、「その他の理由」17.7%、「別の高校への入学を希望」11.1%と続きます。全日制高校と比べると、病気・けが(7.6%)や経済的理由(4.4%)の割合も高くなっています。
通信制高校にはさまざまな事情を抱えて学ぶ人がいて、理由も一つではありません。
以下では通信制高校ならではの卒業できない理由をいくつか紹介していきます。
自宅学習を溜め込んでしまう
通信制高校を卒業する条件の1つである「74単位以上を修得する」ためには、レポートを提出し先生の添削指導を受ける必要があります。ところが、このレポート提出が壁になることがあります。
レポート自体はそれほど難しいものではありません。多くは自宅で教科書を見ながら記入していきます。学校で受けるテストとは違い、教科書を見ながら取り組めるのですが、それがどうして壁になるのでしょうか。
その最大の理由は「自宅学習」にあります。通信制高校の登校日数は学校によって違い、年に数日の学校もあります。それ以外は自宅で学習を進めます。自分の好きな時間に勉強できるので、自由なペースで進められるというメリットがあります。
その分、レポートを出す計画は自分で立てることになります。提出の期限は学校が決めていて、レポートがたまると、期限までに出すのが難しくなります。
レポートを出せなかった科目は、その年度に単位を修得できないことがあります。
中々学校に行けず苦労する
単位を修得するためには、学校が指定した日に登校してスクーリングを受ける必要があります。登校した日は先生から個別に授業を受けたり、ほかの生徒と一緒に授業を受けたりします。
それ以外にも遠足や社会見学といった特別活動もあります。
一方で、「人に会うのが不安」という人や、昼間は働いていてなかなか学校に行けないという人もいます。
入学前にスクーリングの日数の確認が必要
通信制高校によっては、オンライン授業などを取り入れて、スクーリング(面接指導)の時間の一部を減らせるところがあります。
また、学校によっては夏や冬に4日~1週間の合宿スクーリングを実施している学校があります。働いている人が参加しやすいように集中スクーリングを行っている学校もあり、日程は学校の資料で確かめられます。
留年が無い分、卒業の時期を自分で決める
全日制高校は試験の結果や登校日数が足りないと留年してしまいます。しかし、通信制高校は3年以上かけて74単位修得することで卒業できます。
そのため、学年ごとの「留年」がありません。その分、1年にどれだけの単位を修得するかを自分で決めることになります。
1年に修得する単位が少ないと、卒業までの年数が長くなります。卒業の時期を決めて、1年に修得する単位の数を学校と相談しながら決める方法があります。
通信制高校の中途退学率(令和6年度)
令和6年度の高校の中退者数と中途退学率(在籍者数に占める中途退学者の割合)を課程別に見ると、次のとおりです。
| 課程 | 中退者数 | 中途退学率 |
|---|---|---|
| 全日制 | 29,121人 | 1.0% |
| 定時制 | 5,356人 | 7.4% |
| 通信制 | 10,094人 | 3.5% |
出典:文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(令和6年度、e-Stat 表6-5)
通信制高校の中途退学率は3.5%で、全日制高校の1.0%より高く、定時制高校の7.4%より低くなっています。通信制高校を公立・私立に分けると、公立は2,937人(5.0%)、私立は7,157人(3.2%)でした。
参考:文部科学省 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査
通信制高校を卒業するための条件
通信制高校を卒業する条件には次の3つがあります。
- 3年以上在籍すること(学校教育法第56条)
- 74単位以上を修得すること(学校教育法施行規則第96条)
- 特別活動(ホームルーム活動など)に、卒業までに30単位時間以上参加すること(学習指導要領)
ただし、3つ目の特別活動は、テレビ・ラジオやインターネットなどのメディアを学習に取り入れた場合は、時間数の一部を減らせることがあります。
出典:文部科学省『高等学校学習指導要領(平成30年告示)』、e-Gov法令検索『学校教育法』、e-Gov法令検索『学校教育法施行規則』
通信制高校で74単位を修得する方法
単位を修得するには、次の3ステップをこなす必要があります。
- 課題レポートを提出して添削指導を受ける
- スクーリングに出席する
- 試験に合格する
全日制高校の場合も3年間で74単位以上を修得する必要がありますが、単位の修得は「授業に出席すること」と「試験で一定以上の点数を取ること」で可能です。
しかし、通信制高校は授業(スクーリング)の時間が少なく自宅学習が中心なので、自分で学習に取り組み、多くのレポートを提出しなければなりません。
そのため、全日制高校と比べて、自分で学習を進める力がより求められます。
1年に修得する単位の目安
3年で卒業するには、74単位を3年間で修得することになります。例えば、1年に25単位前後を修得すると、3年で74単位に届きます。これは当サイトで計算した例で、公的な目安ではありません。1年に修得できる単位の数は、学校の教育課程や時間割によって違います。
私立の通信制高校で授業料が単位制の場合、就学支援金の対象は年間30単位まで・通算74単位までです。支給期間は、通信制では48月です。
出典:文部科学省『高校生等への修学支援』、文部科学省『高等学校等就学支援金制度に関するQ&A』
続けやすい学校か確かめること
入学前に、学校の資料や説明会で次のような点を確かめられます。
- スクーリングの日数・場所・日程を選べるか
- レポートの出し方(郵送・インターネット)
- 学習の進み具合を一緒に確かめる担任や相談の体制
- 通学コースの有無と、通う曜日・時間
令和7年度の文部科学省の調査では、通信制高校323校のうち273校(84.5%)が、スクールカウンセラーに相談できる体制を整えていました。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
学習を続けやすくする仕組みのある通信制高校
スマートフォンやタブレット端末で授業ができる
仕事の合間などに、スマートフォンで学習できる学校もあります。
学校で受けるような授業を動画で見られるので、普通の学校と違い見逃したところやわからないところは何度でも再生できます。
そのままインターネットを通してレポートの提出も可能なので、手軽に取り組めます。
通学コースや専門分野のコースがある学校
週3日や週5日登校するコースを設けている通信制高校もあります。令和7年度は、週5日の通学コースを開設している通信制高校は323校中90校でした。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
こうしたコースでは、例えば午前中は必修科目の授業、午後は趣味や将来の夢の実現につながる授業を行う学校もあります。
専門分野のコース
通信制高校の中にはアニメ、音楽、モデル、声優、芸能、スポーツなど専門的な分野のコースを設けているところがあります。
学校によっては、こうした専門の授業の一部が高校の単位として認められます。
通信制高校選びに迷ったら

個別指導をしている学校もある
少人数で指導する通信制高校もあります。
わからないことや勉強の進め方を、先生に相談できる学校もあります。
学習計画を一緒に立てる学校もある
卒業までには、レポートの提出とスクーリングの計画を立てて進めることになります。学校によっては、生徒の状況に合わせて、担当の先生が学習計画を一緒に考えます。
通信制高校が続かない理由まとめ
この記事の要点は次のとおりです。
- 卒業には、3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動30単位時間以上が必要
- 令和6年度の通信制高校の中途退学率は3.5%
- 令和6年度の卒業生は、3年間在籍した人が最も多い
- インターネットでの学習やレポートの提出、学習計画の相談ができる学校がある
- 通学コースや専門分野のコースがある学校もある
最近は通信制高校のコース設定が豊富で、さまざまな選択肢があります。
以下から無料で資料請求ができます。スクーリングの日数やサポートの内容は、学校ごとの資料で比べられます。