不登校の定義とは?ひきこもりとの違いや何日欠席で不登校になるか紹介

「不登校」とは、心理的、身体的、社会的な要因などから、学校に行かない(行けない)状態が続くことです。
国の調査では「不登校」の定義が決められていて、「ひきこもり」とは別のものです。
そこでこのページでは国が定める不登校の定義やひきこもりとの違いなどを紹介していきます。
文部科学省による不登校の定義
不登校と聞くと、多くの方は『学校に行かない子ども』のことを指すと思うはずです。
間違っているワケではありませんが、不登校には国が用意した明確な定義(条件)があります。つまり、単に学校に行かないだけでは不登校とは言えないのです。
何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者(ただし、「病気」や「経済的理由」による者を除く。)
出典:文部科学省『令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果』(長期欠席の理由の注)
こちらが文部科学省の調査での不登校の定義です。この調査では、年度間に連続または断続して30日以上欠席した児童生徒を、欠席の理由ごとに数えています。つまり、年度間に30日以上欠席し、その理由が病気や経済的な理由ではない場合が不登校にあたります。
令和6年度の不登校の児童生徒は、小学校137,704人、中学校216,266人(小・中学校で353,970人)、高校67,782人でした。小・中学校の不登校の児童生徒のうち、90日以上欠席した人は54.2%です。
出典:文部科学省『令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』
文部科学省の調査では、以前は「学校ぎらい」という区分でした。
不登校になる原因は多岐にわたり、決して「学校が嫌い」というものだけではありません。
不登校の定義におけるポイント
「病気」や「経済的な理由」で学校に行けない場合は、不登校には数えられません。
不登校のきっかけはさまざまです。令和6年度の調査では、学校が不登校の児童生徒について把握した事実(小・中学校、複数回答)として、次のようなものが多くなっています。
- 学校生活に対してやる気が出ない等の相談があった(30.1%)
- 生活リズムの不調に関する相談があった(25.0%)
- 不安・抑うつの相談があった(24.3%)
- 学業の不振や頻繁な宿題の未提出が見られた(15.6%)
きっかけは一つではなく、いくつかが重なっていることも多くあります。
出典:文部科学省『令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』
学校生活に関わるもの
いじめやいやがらせをする子どもの存在、教職員との人間関係、授業についていけない等、学校生活上の影響から登校しない(できない)タイプが該当します。
こうした場合は、学校では学級担任の配慮や指導、援助などを行います。
生活リズムや体調、気持ちに関わるもの
病気による欠席は「病気」に数えられ、不登校には含まれません。
また、生活のリズムが夜型になったり、不安や抑うつがあったりして、学校に行けなくなることもあります。
家庭生活に関わるもの
家庭内の不和や家庭内での問題、親子関係の悪化などがきっかけとなり、不登校になるケースです。
子どもが不登校になると保護者が「自分の育て方が悪いのだろうか」と自分を責めるケースがありますが、不登校の原因は非常に複雑で1つに絞り切れないことが多いのが現実です。
保護者の方でこの記事をご覧の場合、あまりご自分を責めないようにしてください。
不登校とひきこもりの違い
不登校とよく似た言葉に「ひきこもり」があります。厚生労働省のガイドラインでは、ひきこもりを「様々な要因の結果として社会的参加(義務教育を含む就学、非常勤職を含む就労、家庭外での交遊など)を回避し、原則的には6ヵ月以上にわたって概ね家庭にとどまり続けている状態」としています。
不登校は、学校の欠席日数(年度間に30日以上)と理由で数える区分です。一方、ひきこもりは年齢を問わず、原則6か月以上、家庭にとどまり続けている状態を指します。不登校でも、家の外に出て活動している子どもは、ひきこもりにはあたりません。
出典:厚生労働省『ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン』
そのため、ひきこもりには不登校と違い、学齢期を過ぎて成人した後の人も含まれます。
ひきこもりの原因は複雑
ひきこもりの原因はひとつだけではなく、さまざまな要因が絡み合って起こると言われています。
背景に不安などの心の不調がある場合もあるので、医療機関や相談機関に相談することも大切です。
不登校になった場合に学校が行っている対応
不登校になってしまうと、保護者も学校側も「何とか学校に行かせよう」とします。
しかし、本人はどうしても学校に行くことができません。また、無理やり引っ張って行ったとしても、それがさらなるストレスになって状況が悪化する可能性があります。
義務教育と高校での不登校生徒の対応について見ていきましょう。
義務教育の期間内で不登校になった場合
小学校・中学校は義務教育ですが、もし不登校になった場合に文部科学省では次のように対応するようにしています。
- 教育支援センター(適応指導教室)や民間施設など学校外の機関で相談・指導を受けた日数を、一定の要件を満たせば校長が出席扱いにできる
- 自宅でIT等を活用して学習活動を行い、訪問による対面指導が適切に行われているなど一定要件を満たす場合は出席扱いとする
- 不登校の生徒が中学校卒業程度認定試験を在学中に受験できるよう、情報を提供する
- 高等学校入学者選抜に当たって、調査書以外の選抜資料の活用を図るなど適切な評価に配慮する
- 不登校の児童生徒に合わせた特別の教育課程をもつ「学びの多様化学校」を設ける
このように不登校でも義務教育が卒業できるように、また高校入試が受けられるようにさまざまな配慮を行っています。
出典:文部科学省『義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて』、同『不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)』(令和元年10月25日)、同『学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)について』
小・中学校の卒業は出席日数で左右されない
なお、小中学校の卒業の認定は、校長が平素の成績を評価して行い、出席日数だけで決まるものではありません。
ただし、卒業できるかどうかは校長の判断で決まります。
高校で不登校になってしまった場合
高校は義務教育ではないため、不登校の期間が長くなると、単位が取れずに卒業できなくなることがあります。
高校の卒業要件
学校教育法と高等学校学習指導要領で、高校を卒業するための条件が次のように定められています。
- 3年以上在籍
- 合計74単位以上を修得
学年制の高校では、不登校などで出席日数が足りない場合や試験の成績が悪い場合などは「原級留置(げんきゅうりゅうち)」となり、次の学年に進めません。
原級留置とはいわゆる「留年」のことです。そのまま欠席を続けて高校中退に至るケースもあります。
高校でも、学校外の機関での相談・指導を出席扱いにできる場合があるので、学校に相談してみましょう。
高校で不登校になり、自身や家庭での解決が難しい場合は不登校支援をしている施設・教育機関を頼る必要があるでしょう。
不登校になった場合は通信制高校へ進学・卒業を目指すのがおすすめ
小中学校で不登校になっても、卒業はできます。ただ、全日制高校に進学するときに、調査書の欠席日数などを心配する人もいます。
また、高校で不登校になった場合は卒業が難しくなることがあります。そのようなとき、通信制高校で高校卒業をめざす方法もあります。
不登校になった人に通信制高校がおすすめの理由
不登校になった人に通信制高校がおすすめの理由としては、次の点があげられます。
- 新入学だけでなく、学年の途中からでも転入できる
- 転入の場合は、全日制高校で修得した単位を引き継げる(学校の認めた範囲)
- 自宅でのレポート学習が中心で、登校はスクーリングの日だけ
- 学区外の高校に入ることが可能なので、在籍していた学校の生徒と顔を合わせなくてもいい
- 3年を超えて在籍できる学校もある
- 高卒の資格が取れる
- 教室での一斉授業ではないため、自分のペースで学習できる
- 私立には、個人指導で中学校時代の学習のつまずきにも対応する学校もある
- 週に何日か通う通学コースのある学校もある
- 資格取得などさまざまなコースがある
このように通信制高校なら、「学習の遅れ」や「登校の不安」「以前のクラスメートの視線」などを気にせずに、高校卒業をめざしやすくなります。
また、資格取得のサポートや大学進学に力を入れている通信制高校もあります。
通信制高校なら学習でつまずいた箇所から勉強が可能
不登校で長い間学校で勉強をしていないと、高校の教科書が理解できない場合があります。しかし、通信制高校なら教室の一斉授業ではなく自宅で学習するのでほかの人のペースを気にする必要がありません。
また、私立の通信制高校には、個人指導や少人数制授業で、中学校でわからなくなった箇所に戻って教えてくれる学校もあります。
そういった点でも、通信制高校は選択肢の一つになります。
通信制高校選びに迷ったら

通信制高校への転入は単位の引き継ぎが可能なのも大きい
入学試験を受けて全日制高校に進学したのに、途中で通信制高校に転入するとそれまでの努力がもったいないと感じる人がいるかも知れません。
しかし、全日制高校で修得した単位は、転入先の通信制高校が認めれば引き継ぐことができます。在籍していた期間も通算されます。例えば全日制高校に1年間で25単位を修得している場合は、通信制高校で残りの49単位を修得すれば卒業できます。
そのため、全日制高校で学んだことは決して無駄にはなりません。
※単位の引き継ぎは学校によっては条件を設けている事があります。事前に無料請求できる資料を確認するか、学校に問い合わせしておきましょう。
不登校の定義まとめ
不登校は、文部科学省の調査では、年度間に30日以上欠席し、その理由が病気や経済的な理由ではない場合を指します。不登校の背景は一人ひとり違い、原因を一つに絞れないことも多くあります。
不登校になったことで、子どもを責める必要はありません。
教育支援センターやフリースクール、出席扱いの制度、通信制高校など、不登校の子どもが頼れる場や制度があります。
子どもが不登校になっている場合、まずは子どもの話を聞き、不登校からの復帰や不登校受け入れをしている通信制高校などへの転入を検討してみると良いでしょう。