不登校の中学生・高校生の進路|高校入試での内申・欠席の扱いと受け入れ先

「不登校でも進学できるの?」という不安を覚えている中学・高校生やご両親の方は多いかと思います。
「将来を考えると進学しておいた方が良いのかな」「進学しても無事に高校を卒業できるのかな」など、進路は考えれば考えるほど頭を抱えてしまう悩みです。
この記事では、不登校の中学生・高校生の進路について、高校入試での内申(調査書)や欠席日数の扱い、不登校の経験がある生徒を受け入れている学校の種類を紹介します。
不登校を経験した生徒の高校進学の状況

不登校を経験した中学生の多くは、高校などに進学しています。高校生の場合も、転入や編入で学び直すことができます。
文部科学省の追跡調査では、平成18年度に中学3年生で不登校だった人の高校進学率は85.1%で、前の調査の65.3%から大きく上がりました。
令和7年の文部科学省の調査(小・中学校で不登校を経験した18~59歳が対象)では、中学校を卒業してすぐに高校などに進学した人は、就職しながらの進学を含めて84.3%でした。進学先は全日制高校が73.1%、通信制高校が10.1%、定時制高校が7.8%です。
出典:文部科学省『不登校に関する実態調査(平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書)』、文部科学省『不登校経験者等を対象とする調査』(令和7年)
中学校の進級や卒業は、校長が判断します。私立の中学校などでは留年の例もあるので、心配なときは学校に確かめましょう。
高校の中には、出席日数や内申(調査書)を重視しない選抜を行う学校もあります。
高校入試で内申(調査書)と欠席日数はどう扱われる?
公立高校の入学者の選抜は、中学校から送られる調査書(内申)や学力検査の成績などをもとに行われます。ただし、特別の事情があるときは、調査書を選抜の資料にしないこともできると定められています。
出典:e-Gov法令検索『学校教育法施行規則』(第90条)
文部科学省は、高校で学ぶ意欲や能力のある不登校の生徒を適切に評価することが望まれるとしています。
出典:文部科学省『不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)』(令和元年10月25日)
不登校の経験がある生徒への配慮のしかたは、都道府県によって違います。例えば、次のような取り組みがあります。
- 東京都:志願者が事情を説明する自己申告書を出すことができる。調査書の様式に出欠の欄がない
- 神奈川県:2年生か3年生で出席すべき日数の3分の1以上欠席した生徒は、申請書を出すと、指定した学年の調査書の学習の記録を選考に使わない
- 島根県:いずれかの学年で欠席が30日以上ある場合などに、自己申告書を出すことができる
志望する都道府県の入学者選抜の実施要綱や、中学校の先生に確かめましょう。
出典:文部科学省『高等学校入学者選抜について』(令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査)、東京都『令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目について』
調査書を使わない都立高校もある(東京都の例)
東京都には、不登校の経験がある生徒などを主な対象にした都立高校や、学力検査を行わない都立高校があります。
- チャレンジスクール:小・中学校で不登校を経験した生徒などを主な対象とする総合学科の7校。学力検査と調査書によらず、面接と作文、志願申告書などで選ぶ
- エンカレッジスクール:学力検査を行わない。調査書は使い、面接や作文などと合わせて選ぶ
- 昼夜間定時制高校:昼間部と夜間部があり、自分に合った時間帯の部を選んで学べる
ほかの道府県にも、不登校の経験がある生徒が受験しやすい学科やコースを置いているところがあります。
出典:東京都『令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目について』、東京都教育委員会『令和9年度東京都立高等学校定時制課程通信制課程入学案内』
不登校を経験した生徒の進学先
進学先の種類

不登校を経験した生徒の進学先には、次のような種類があります。
全日制高校(私立高校)
全日制高校の入試では、学力検査に加えて、調査書(内申や出席の記録)を使う学校が一般的です。
私立高校の中には、一般入試で当日の試験の点数を中心に合否を決める学校もあるので、出願の条件を学校に確かめましょう。
多くの全日制高校は学年制で、学年ごとの進級条件を満たすと次の学年に進級します。
成績や出席日数が基準に満たない場合は、卒業までに3年より長くかかることがあります。
転入や編入を受け付ける時期や人数は、学校によって違います。
進学・転入の際の注意点
全日制高校の場合、学校によって校風や教育内容は異なるため自身に適合するところを選ぶ必要があります。
「環境を変えて心機一転頑張りたい!」「親元から離れて生活がしたい」という場合は、全寮制の学校を選ぶと良いでしょう。
不登校の期間に勉強が遅れていたり、苦手な科目があったりする場合は、家庭教師や塾など勉強のサポートを使うのも一つの方法です。
不登校の経験がある生徒を受け入れている私立の全日制高校もあります。
しかし、不登校の受け入れを行っていてもその年によって不登校生の受け入れをおこなうかどうかは確実ではないため、私立の全日制高校に進学・転入したい場合は事前に学校に問い合わせましょう。
定時制高校
定時制高校とは、夜間などの特別な時間に授業を行う課程の高校です(学校教育法第4条)。夜間だけでなく、午前・午後・夜間などの部を選べる学校もあります。
定時制高校の修業年限は3年以上で(学校教育法第56条)、4年で卒業する学校のほか、3年で卒業できる仕組みのある学校もあります。1日の授業の時間も学校によって違います。
定時制高校には、年齢や経歴がさまざまな生徒が通っています。
進学・転入の際の注意点
定時制高校は、
- 中退率が高め
- 通学しやすい場所に学校があるかどうか
- 希望する時間帯に授業を行っているか
- 校風や雰囲気が合うか
といったことに注意点があります。
文部科学省の令和6年度の調査では、定時制高校の中途退学率は次の通りです。
- 1年生 13.2%
- 2年生 8.4%
- 3年生 5.1%
- 4年生 2.0%
- 単位制 7.2%
定時制高校全体では7.4%で、全日制高校全体(1.0%)よりも高くなっています。
出典:文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(令和6年度、e-Stat 表6-5)
高等専修学校
高等専修学校は、専修学校のうち中学校を卒業した人を対象とした課程です。社会に出てすぐに役立つ実践的な職業教育を行う学校で、高等学校と並ぶ後期中等教育機関と位置づけられています。
修業年限が3年以上などの要件を満たし、文部科学大臣が指定した学科を修了すると、高校卒業者と同じように大学入学資格が得られます。
なお、5年制で工学・技術系を学ぶ「高等専門学校(高専)」とは別の学校です。
出典:文部科学省『高等専修学校とは』、文部科学省『高等専修学校から大学へ』
通信制高校
通信制高校の入試は、書類選考や面接、作文を中心に行う学校があり、学力試験を行わない学校もあります。
入学のしやすさでは、今回紹介した高校の種類の中でも入りやすい高校と言えるでしょう。また、通信制高校は単位制で、3年以上在籍して必要な単位(74単位以上)を修得すると卒業できます。
さらに登校(スクーリング)日数が少なく済むため、対人関係や登校が苦手な生徒におすすめです。スクーリングはどの学校でも必要ですが、少ない学校では年に数日の登校で卒業を目指せます。
ただし、大学進学を志望する際は通信制高校の中でも大学受験の対策をしているコースに入り、受験に向けた学習を自分で進める必要があります。もし大学進学を視野に入れている場合は、コース選びは慎重に行いましょう。
サポート校・高卒認定試験との違い
通信制高校と一緒に「サポート校」に通う生徒もいます。サポート校は学習や生活を支える民間の施設で、高校卒業の資格を得るには、提携する通信制高校に入学して単位を修得する必要があります。サポート校の費用は、就学支援金の対象外です。
高卒認定試験は、合格すると大学・短大・専門学校の受験資格が得られる試験です。ただし、合格しても最終学歴は高校卒業になりません。
不登校の中学生の進学先として、通信制高校は有力な選択肢

不登校の中学生にとって、通信制高校は進学しやすい選択肢の一つです。令和7年度に通信制高校に入学した生徒のうち、中学3年生のときに不登校だった生徒は57.0%で、不登校の経験がある生徒を受け入れる体制を整えている学校が多くあります。
たとえば、スクールカウンセラーに相談できる体制を整えている通信制高校は84.5%(令和7年度の文部科学省の調査)あり、対人関係が苦手な子どものために登校日数の少ない学校もあります。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
また、先生が家まで訪問してくれる制度を採用している学校もあります。
また通信制高校には、以下のような特徴があります。
- 自宅学習なので自分のペースで勉強できる
- 必要な単位を修得すると卒業することができる
- 自由な時間が多いので仕事や趣味と両立できる
- 卒業資格は全日制高校と同じなので社会に出ても役立つ
レポートの提出をスマートフォンやタブレット端末でできる学校や、少人数でスクーリングを行う学校もあります。
以上の要素から、通信制高校は高校進学を検討している不登校の子どもにとって、非常に通いやすい仕組みになっています。
高校生で不登校になったときの進路
高校に入ってから学校に行けなくなった場合も、いくつかの道があります。
今の高校に在籍したまま、学校外で相談・指導を受ける
高校の不登校の生徒が、学校の外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けている場合、校長はその日を指導要録上の出席扱いにすることができます。この出席扱いは、科目の履修を認めるときの授業への出席とは別のものです。
出典:文部科学省『高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について』
ほかの高校に転校する
全日制・定時制・通信制の間で転校する場合は、修得した単位に応じて、相当する学年に転入することができます。単位制の高校では、前の高校で修得した単位を、卒業に必要な単位に加えることができます。
出典:e-Gov法令検索『学校教育法施行規則』(第92条)、e-Gov法令検索『単位制高等学校教育規程』(第7条)
高卒認定試験を受ける
高卒認定試験は、高校に在籍したままでも、休学中でも受験できます。
出典:文部科学省『高等学校卒業程度認定試験Q&A(試験の出願について)』
受験の準備と相談先
受験の準備の流れ
多くの場合、次のような順で準備を進めます。
- 気になる学校の資料を取り寄せ、説明会や個別相談に行く
- 出願に必要な書類(調査書・自己申告書など)を中学校の先生と確かめる
- 面接や作文などの試験を受ける
令和7年度に文部科学省が調べた通信制高校323校の入学者選抜の方法は、面接が296校、書類が230校、作文・小論文が154校、学力検査が91校でした。1つの学校が複数の方法を組み合わせていることもあります。
出典:文部科学省『令和7年度通信制高等学校実態調査に関する調査結果について』
学費と就学支援金
通信制高校を含め、高校の授業料は国の「高等学校等就学支援金制度」の対象です。2026年度から就学支援金の所得制限が撤廃され、世帯年収にかかわらず支援を受けられるようになりました。対象は授業料のみで、入学金・施設費などは対象外です。
相談先
進路に迷ったときは、中学校・高校の先生やスクールカウンセラーのほか、教育委員会などが置く教育支援センターにも相談できます。教育支援センターは、不登校の児童生徒の相談・指導や学習の支援を行う公的な施設です。
文部科学省の『子供のSOSの相談窓口』のページでは、24時間相談できる窓口なども紹介されています。
出典:文部科学省『教育支援センター整備指針(試案)』、文部科学省『子供のSOSの相談窓口』
中学・高校の不登校生を受け入れているおすすめの学校を紹介

では最後に高校進学をしたいと考えている不登校の中学生におすすめの通信制高校を紹介します。
以下の通信制高校は、不登校の生徒に通いやすく、将来にも役立つ仕組みを用意している学校です。参考にしてください。
ルネサンス高等学校

- ルネサンス高校グループの2024年度の卒業率は97.8%
- 登校(スクーリング)は最短で年5日
- スマートフォンやタブレット・パソコンを使ったネット学習
ルネサンス高校グループの2024年度の卒業率は97.8%です(1・2年次に必要な単位を修得して3年次を迎えた生徒の卒業率)。
登校は最短で年5日なので子どもの負担も少なく、スクーリングは「宿泊集中型」か、複数回に分けて参加する「分割型」を選ぶことができます。
また、ルネサンス高等学校ではレポートの提出などをスマートフォンやタブレット・パソコンで行える学習スタイルを採用しているのも特徴です。
どこでも好きなときに勉強することができるので、自由がきくのも魅力の一つです。なお、スクーリングと単位認定試験には参加する必要があります。
なお遠足やBBQ、クリスマスパーティーなど、さまざまなイベントも用意されています。
出典:ルネサンス高校グループ、ルネサンス高等学校、同『スクーリング』
松陰高等学校 春日井学習センター

- 少人数制で一人ひとりにきめ細かく指導
- 漢検・英検などの検定講座がある
- 週2~3回の授業がある登校型で、登校の習慣をつけられる
松陰高等学校 春日井学習センターは、山口県岩国市に本校がある広域通信制高校の松陰高等学校の学習センターです。寺子屋の伝統を継承した少人数制で、生徒一人ひとりにきめ細かな指導を行っています。
高校を卒業したあとは、大学や専門学校への通学、会社への通勤など、毎日決まった時間に通う生活になることが多くあります。
春日井学習センターは登校型の学習スタイルをとっていて、時間割には週2~3回の授業が組み込まれています。登校の習慣をつけることで、将来の進路先でも毎日通学・通勤できるようにしています。
春日井学習センターでは、漢検・英検・日本語検定・情報処理検定の検定試験が受けられます。
単位制なので留年はなく、3年以上在籍して74単位以上を修得すれば卒業できます。研修旅行もあり、これまでに台湾・ベトナム・東京・神戸・大阪・沖縄に行っています。
(各校の紹介は、2026年10月時点の公式サイトによる)
出典:松陰高等学校 春日井学習センター『私たちの取り組み』、同『入学から卒業まで』、同『キャンパス紹介』
学校選びで確かめたいこと
不登校の経験がある人が学校を選ぶときは、次のような点を資料や説明会で確かめましょう。
- スクーリング(登校)の頻度と場所
- 自宅からの通学時間
- スクールカウンセラーなどに相談できる体制
- 卒業生の進路
不登校の中学生・高校生の進路まとめ
不登校を経験した中学生の多くは、高校などに進学しています。高校入試では、内申(調査書)や欠席日数に配慮する仕組みを設けている都道府県や、調査書を使わない公立高校もあります。高校生の場合も、転校や高卒認定試験などの道があります。進路の選択肢の一つとして、通信制高校があります。
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